Chianti Classico 2021|SAN GIUSTO A RENTENNANO|テイスティングレポート

イタリアワイン

こんにちは。わいんとくすりです。

今回はトスカーナを代表する銘柄「キャンティ・クラシコ」を忖度なしでテイスティングしていきます。造り手は代表的生産者であるSAN GIUSTO A RENTENNANO(以下、サン・ジュスト・ア・レンテンナーノ)です。

ワインは生産者や栽培環境、醸造過程といった背景も知ることで、より興味深く味わうことができます。この点にも目を向けてみていきましょう。

このレポートは2025年1月現在でのレポートです。ワインは飲むタイミングや保存状態によってその品質は大きく左右されます。当然好みや個人差もありますので、その点はあらかじめご了承ください。

サン・ジュスト・ア・レンテンナーノ

初めに、サン・ジュスト・ア・レンテンナーノとはどのような生産者なのかをみていきましょう。

サン・ジュスト・ア・レンテンナーノはキャンティ・クラシコエリアの南側、ガイオーレ・イン・キャンティの生産者です。

ガイオーレ・イン・キャンティと言えば、以前ご紹介したAMA(アマ)も同じ地域の生産者です。位置関係としてはAMAが北側に対して、サン・ジュスト・ア・レンテンナーノはより南側で、キャンティ・クラシコ最南部に流れるアルビア川のすぐ近くになります。

農園の始まりは非常に古く、中世シトー派の修道院として始まり、San Giusto alle Monache:サン・ジュスト・アッレ・モナケと呼ばれていました。

修道院は当時不屈の要塞とも呼ばれており、その名残である外壁や地下セラーが今も残っています。地下セラーは現在もワインの熟成庫として利用されています。

1914年以降はマルティーニ・ディ・チガラ家に所有が移り、1992年にはその兄弟であるアンナ、ルシア、エリザベッタ、フランチェスコ、アレッサンドロ、ルカが現在に渡って所有しています。

そんなサン・ジュスト・ア・レンテンナートの造るワインは多くの受賞歴があり、特に有名なワインはサンジョヴェーゼ100%で造られる「Percarlo:ペルカルロ」やメルロー100%のスーパータスカン「La Ricolma:ラ・リコルマ」です。

今回テイスティングする「Chianti Classico 2021」は最もスタンダードながら高い評価を得ており、ワインアドヴォケイトで94点、アントニオ・ガッローニで93点となっています。

基本情報 ~栽培・醸造~

By Wollombi, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1807785

次に栽培・醸造についてみていきます。

栽培に関する情報はほとんど出てきませんでしたが、Googleマップで畑の景観を確認してみると緩やかな傾斜地になっており、水はけがよく、日照の確保も十分出来そうな印象を受けます。

サンジョヴェーゼの収穫は9月22日から10月15日に実施されたようです。サンジョヴェーゼなので、時期的には例年通りといった感じ。ということは、気になる悪天候もなかったことが予想できます。

ワイナリーに届いたブドウは選果、破砕され、果皮や種子などと一緒にコンクリートまたはステンレスタンクで13日間アルコール発酵を行います。ブドウの質を最大限引き出すために複数回のポンピングオーバー、パンチングダウンがされます。

圧搾後されたワインの残りかすは再度ソフトプレスされ、抽出された液体はワインにもどされます。その後、マロラクティック発酵を行い、500Lのオーク樽で11ヶ月間熟成。瓶詰め後もさらに6月間の熟成を経て市場へ出荷されます。

2021年ヴィンテージの出荷量は750mLは5000本、1500mLは450本となっています。

仕上がったワインの基本情報は以下の通りです。

SAN GIUSTO A RENTENNANO Chianti Classico 2021
  • 生産者  :サン・ジュスト・ア・レンテンナーノ
  • 原産地  :キャンティ・クラシコ ガイオーレ・イン・キャンティ
  • 品種   :サンジョベーゼ95%・カナイオーロ5%
  • 呼称   :Chianti Classico DOCG
  • 生産年  :2021年
  • アルコール:14.8%
  • 残糖度  :1g/L未満
  • 総酸度  :5.86g/L
  • pH :3.34

Chianti Classico 2021 ヴィンテージ情報

2021年のキャンティ・クラシコの気候は規則的でサンジョヴェーゼにとって優れた年です。

春の時期は雨が多く降ったことが特徴です。豊富な雨はブドウ樹の成長を促し、乾燥した夏場を超える原動力となります。雨の影響により真菌(カビ)感染が懸念されましたが、問題なく育成は進みました。一部、気温の上がりにくい畑では発育不全を認めたため、収量がやや減少しています。

夏場は散発的に雨が降る程度で基本的には乾燥した日が続きます。8月の下旬になると日中は気温が上がるものの夜間はかなり冷え込み、日較差があったこともあり、ブドウは酸を保ちつつ、豊かなアロマを蓄え、完全に成熟しています。

サンジョヴェーゼの収穫は9月20日頃より始まり、健全かつ高品質なブドウを得ることが出来ています。

2021年のChianti Classicoは、春の雨の影響で収穫量が減少したものの、品質は高く、フレッシュさを保ちながらも成熟したタンニンと凝縮感のある赤ワインと評価されています。

2021年ヴィンテージはWINE ADVOCATESで95点、WINE SPECTATORでは98点と高得点がついています。

実際にテイスティングをしてみて

いよいよ実際のテイスティングになります。

外観

エッジはまだ紫で、中心部は淡いガーネット。粘性は高く、ゆっくりと涙が流れます。若さがまだ感じられる印象。

香り

初日には少し梗を思わせる青っぽい印象とアルコールの強い香りが先行。香りは閉じている。時間を置いてもなかなか開いてはくれず。2日目になるとその印象がややほぐれてきます。

3日目に本領を発揮。青さはなくなり、アルコール感も落ち着きました。瑞々しいカシスの豊かなアロマ、ほのかにオークの印象。スミレや丁子のようなスパイスも感じられます。

味わい

アタックはしっかりとしており、果実味とアルコール感が中心。初日、2日目は果実味が閉じている分少し冷やしていただく方がドライで好み。程よい酸味の後にしっかりとしたタンニンが口内を引き締めます。

アルコール感が落ち着いた3日目は果実味が一気に増すため、18度~20度にすると芳醇さが際立っておすすめです。余韻はやや長め。

グラスについて

初日、2日目は大ぶりの白ワイングラスあたりが良いかと思います。程よい果実味と酸味が食事に寄り添ってくれると思います。

3日目は大きめ、ブルゴーニュ型のワイングラスがあれば香りを感じやすく、芳醇なワインを楽しむことができると思います。こちらはゆっくりと、ワインだけでも楽しむことができます。

飲み頃

いま飲んでも十分楽しむことができます。

果実味や酸、タンニンもまだまだしっかりと感じられるため、これからの熟成も可能です。生産者のホームページも2023〜2028年が飲み頃になっています。

まとめ

いかがでしたか?今回はChianti Classico 2021 SAN GIUSTO A RENTENNANOのテイスティングレポートをお届けしました。

サン・ジュスト・ア・レンテンナーノは評価の高い生産者だけあって造りはかなりしっかりとした印象を受けました。

抜栓当日〜2日目にかけては硬い印象がありましたが、徐々にこちらに寄り添ってくれ、抜栓後3、4日目にぐっと近寄ってくれます。アルコール感が程よく抜け、果実の印象がグッと強くなり、酸、タンニンが見事に調和をしてくれます。

もちろん今後の熟成も期待できるので、1本持っておいても損はないワインだと思いました。是非試してみてください。

あなたのワイン選びの参考になれば幸いです。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

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