こんにちは。わいんとくすりです。
今回はイタリアワインのボトルに記載されているロゴマークについてみていきたいと思います。イタリアワインが好きな方であれば一度は見たことがある方も多いのではないでしょうか?
ブドウの入ったバスケットを頭に乗せた人が描かれたロゴマーク。そこに記載されている「Fede razione Italiana Vignaioli Indipendenti」の文字は一体何を意味しているのでしょうか?
そんな疑問にお答えします。
Federazione Italiana Vignaioli Indipendentiとは?

Federazione Italiana Vignaioli Indipendentiは直訳すると「イタリア独立ワイン生産者連盟」です。一般的にFIVI(フィヴィ)と略されます。公式のホームページに加え、iphoneやandroid対応のアプリもあります(日本語は非対応)。
独立ワイン生産者と言われるとなかなか理解が難しいですが、ブドウの栽培から醸造、瓶詰め、管理・販売までを一貫して自社で行う中小の生産者を指しています。必ずしも個人ではなく、生産者協同組合も含みます。
加盟している生産者たちは、栽培から販売までの一連の業務に従事し、自分たちの属する地域を保護、活性化するために、日夜活動を行っています。
FIVIに加盟する生産者の条件は以下の3つです。
- 自社でブドウの栽培、醸造、瓶詰め、管理をし、自らの責任において、自社の名前とラベルを付けて販売までを行う。
- 生産者は商業目的のブドウやワインの購入は行わない。ブドウの購入は、必要性が生じた場合、ワイン醸造に必要なブドウのみを購入することができる。
- ワイン醸造の専門家としての規則を尊重し、不必要な添加物の使用を制限し、造り手が過度に手を加えるような必要がない健全なブドウの生産に注力する。
会員はイタリア全土に分布しており、現在は1700以上の生産者が登録されています。各会員のブドウ栽培面積は平均10ha程度と広くはありませんが、約51%が有機栽培・ビオディナミに取り組んでいます。
誕生の経緯

ヨーロッパには小規模な生産者も多く、時には大手から不利な条件でブドウを買いたたかれたという話も珍しくありません。そのため、小規模生産者同士、お互いに助け合ってワイン造りを行ってきた背景があります。
北イタリアにあるトレンティーノ・アルト・アディジェ州は家族経営の生産者が多かったこともあり、1990年にFWS(Associazione del Vignailoi Indipendenti dell’Alto Adige:アルト・アディジェ独立ワイン生産者協会)が設立されました。
続く2002年に発足したヨーロッパ全体を含むCEVI(Confederazione Europea Vignaioli Indipendenti:ヨーロッパ独立ワイン生産者連盟)が誕生し、中小生産者を擁護する動きが広がります。
きっかけは2006年にCEVIとFWSがイタリアにおいても独立ワイン生産者の利益を守るための団体を設立するための行動を起こし始めたことです。
2年後の2008年7月17日、FIVI(イタリア独立ワイン生産者連盟)が正式に設立されました。FIVIはヨーロッパ全土のワイン生産者協会が含まれるCEVIにも加盟し、その基準を遵守しています。
連盟最初の代表者はアオスタ渓谷のCostantino Charrère(コンスタンティーノ・チャレール)氏。2013年にヴェネト州のMatilde Poggi(マチルデ・ポッジ)氏が選出され、2022年より現在のトレンティーノのLorenzo Cesconi(ロレンツォ・チェスコーニ)氏が代表となっています。
FIVIの役割

FIVIは小規模生産者・協同組合が持続可能かつ合理的な経済活動を行えるように、加盟者の利益(道徳的、技術的、社会的、経済的、行政的な利益)を擁護・促進することを掲げています。
FIVIの具体的な目標は以下の4点です。
- 加盟者の仕事、利益、技術、経済的ニーズの保護
- 地域、国、ヨーロッパでのワイン開発政策に参加し、生産者とイタリアのワイン関連の利益となる政策や規制の提案
- 製品の信頼性を最大限に保証するとともに、地域の保護、消費者の認識の促進、消費者との連携を構築するためのツールとして機能
- 地元の代表団を通じて、国内の生産者の活動を調整し、支援・促進する
これらの目標を達成するため、FIVIはヨーロッパ全土の独立ワイン生産者が加盟するCEVIを通してブリュッセルのコミュニティ機関と連絡を取り、地域、国、ヨーロッパレベルでの農村開発政策に関与しています。
また、サプライチェーン全体に関わる質問や提案を行ったり、生産者の仕事や生活に関する問題についても経済的、法的な提言を行っています。
シンボルマーク
FIVIのロゴマークはイタリアの画家Fortunato Depero(フォルトゥナート・デペロ)氏の作品をモチーフに描かれており、ブドウの入ったバスケットを頭にのせた生産者、その影はワインのボトルをイメージしています。
このマークの意図として、加盟社は栽培から瓶詰まで一貫して行っていることを示し、すべての生産段階において生産者自らが責任をもって行っていることを表現しています。

このロゴをボトルに表示することで、消費者は生産者がFIVIに加盟していることを認識し、安心して高品質なワインを購入できる目印になります。
まとめ
いかがでしたか?今回はFIVI(Federazione Italiana Vignaioli Indipendenti)について記載させていただきました。
まとめてみると、
- FIVIの目的は加盟者に関する利益の擁護・促進
- 加盟者は主に家族経営などの小規模生産者で、栽培から瓶詰め、管理・販売までを一貫して行なっている
- ロゴによって小規模生産者が品質に自信をもって販売していることがわかる
私が最初にこのマークを見かけたのはヴェネト州Soaveの名門PIEROPANです。その時はあまり気にも留めなかったのですが、他のワインでも見かけるようになり、今回の記事を書こうと思いました。
ちょっとした雑学にはなりますが、イタリアワイン好きとしては知っておく必要のあるロゴマークなのだと思いました。
FIVIのマークの入ったワインの値段は広く、比較的手に取りやすいものもみられます。一度試してみることをおすすめいたします。
ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

薬剤師/2023ワインエキスパート/イタリアワイン好き/寅年
とあるワインバーでワインのセミナーを聞き、ワインを学習の対象として見るようになりました。さらに体系的な勉強がしたいと思い、2022年にワイン検定ブロンズ、シルバー、2023年にJSAワインエキスパートを取得。このブログでは試験で得られないイタリアワインの面白さをお届けしていきます。
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