Le Volte dell’Ornellaia 2019|Ornellaia|テイスティングレポート

テイスティングレポート

こんにちは。わいんとくすりです。

今回はトスカーナ州、ボルゲリの名門Ornellaia(以下、オルネライア)が造るサードワイン「Le Volte(レ・ヴォルテ) 2019」をテイスティングしていきます。ワインを実際にいただいての感想を忖度なしで記載していきたいと思います。

ワインは生産者や栽培環境、醸造過程といった背景も知ることで、より興味深く味わうことができます。この点にも目を向けてみていきましょう。

このレポートは2025年1月現在のレポートです。ワインは飲むタイミングや保存状態によってその品質は大きく左右されます。当然好みや個人差もありますので、その点はあらかじめご了承ください。

オルネライアについて

オルネライアの現在の所有者はトスカーナ州の名門フレスコバルディ家ですが、もともとはアンティノリ家によって、1981年に設立されました。

1985年にファーストヴィンテージをリリースし、1987年には近代的な設備の導入、ボルゲリの北側に位置するベッラーリアの畑を購入するなど事業は順調に拡大していきます。

1999年、ロバート・モンダヴィ・ワイナリーが株式を購入したことで所有者が2002年まで変わります。その後、パートナーシップを結んでいたフレスコバルディ家が、2005年にモンダヴィ・ホールディングスを買収、残りの株式も買い取ったことで所有権が完全に移ります。

ワイン造りは2023年までアクセル・ハインツ氏が務め、設立当初から関わってきたミシェル・ロラン氏がコンサルタント醸造家として関わっています。

オルネライアはテロワールの魅力を最大限引き出すために畑を細分化し、50にもなる小区画に分かれています。各区画はそれぞれの条件にあった管理を行うことで、ヴィンテージの特徴を尊重しながらも、区画の個性を十分に表現しています。

ラインナップはフラッグシップの「Ornellaia」を筆頭に、セカンドラベルとなる「Le Serre Nuove 」やブレンドで造られる「Le Volte」、白ワインの「Ornellaia Bianco」,「Poggio alle Gazze 」にデザートワインの「Ornus」を生産しています。

その中でもエントリーレンジとなるワインが今回の「Le Volte」です。

基本情報 

栽培

オルネライアはティレニア海を見下ろすトスカーナ海岸、北マレンマ地方のボルゲリに位置しています。スーパートスカーナの元祖「サッシカイア」の生産者、テヌータ・サン・グイドやカ・マルカンダに隣接しています。

ブドウ畑は合計99ha、そのうち41haはテヌータ周辺にあり、残りの58haは海に近いベッラーリアにあります。

ブドウ畑の海抜 50 から 120メートル、5 から 20 度の傾斜地になります。植栽密度は、古いブドウ畑では 5,000 本/ha、ベッラーリアのブドウ畑では 7,000 本/ha、新しい畑になると8,700 本/haにまでのぼります。

オルネライアの ブドウ畑は 前述したように50 区画に分かれており、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルトの4 品種が大部分を占めています。

畑の気候は特有の地中海性のミクロクリマの影響を受けており複雑、土壌は太古の昔、地中海の底にあったことから、砂、泥灰土、海洋生物の化石が見られます。標高が少し高い区画は粘土質となり、さまざまな形や大きさの石灰石が混じります。

醸造

ブドウは品種毎に小型のステンレスタンクで発酵させ、品種の特徴をそのままワインに表現しています。アルコール発酵後そのままステンレスタンクでマロラクティック発酵を行います。

熟成は「Ornellaia」で使った樽とセメントタンクを併用して10ヶ月間熟成を行います。こうすることで、立体的なタンニン分と、フレッシュ感あふれる果実味のバランスが絶妙のワインとなります。

下記が基本情報です。

 
  • 生産者  :オルネライア
  • 原産地  :イタリア トスカーナ州 ボルゲリ
  • 品種   :メルロー 、サンジョヴェーゼ 主体のブレンド
  • 呼称   :IGT
  • 生産年  :2019年
  • アルコール:13.5%

セパージュはヴィンテージによって大きく異なるようです。2022年ヴィンテージはカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロー主体となっていました。

Le Volte dell’Ornellaia 2019 ヴィンテージ情報

2019年は良年とされるヴィンテージですが、近年で稀に見る気候変動の激しかった年と生産者は述べています。

冬から初夏にかけて例年より寒く、雨が続いたことにより成長の遅れ、開花は例年より10日以上も遅れました。

6月になると一転、異常な暑さと乾燥した日が続きます。月末の最高気温は37度にまで達します。夏の間は猛暑日が続き、平均気温が例年+2℃、45日間雨が降らないという過酷な状況にまで追い込まれました。

7月の最終週に2日間に降り続いた雨のおかげで、天候はリセットされ、ブドウの成長に理想的な環境が整っていきます。

ブドウの収穫は9月5日から10月4日にわたって行われました。収穫期は好天に恵まれ、ブドウが持つ繊細な風味と芳香をそのまま保った状態で収穫することができています。

ボルゲリワインの2019年ヴィンテージはWINE ADVOCATESで95点、WINE SPECTATORでは96点と高得点がついています。

実際にテイスティングをしてみて

外観

エッジにややレンガ色を帯びたガーネット。2019年ヴィンテージなので、熟成感が表れてきています。粘性は中程度。涙はゆったりと流れる程度で、じっとりとした印象は受けません。

香り

初日:少し熟れたなカシスの香りと涼やかさを感じるメントール。穏やかではあるが、丁子のようなスパイス感。強い果実の印象はみられないが、熟成感を感じる香りもあまり感じられない、閉じた状態。

2日目:少し熟成感が出てきました。ローストしたコーヒーやカカオの印象も。スパイスに甘草も顔を覗かせています。

3日目:熟成したワインになった!腐葉土のような香りに少しスッとしたメントールの香り。2日目にあったローストした印象はかなり落ち着いています。

味わい

1日目の中心は穏やかな果実味。そこから少し遅れてしっかりとしたタンニンと主張しすぎない酸味が感じられます。アルコール感は抑えめで優しい。年月が経っていることもあり、全体的に落ち着いてきていますが、決してバランスは崩れていません。

2、3日目になると熟れた果実の印象が和らぎますが、タンニンと酸味のバランスは整っているため、非常に飲み心地が良い状態になっています。

全ての日において、飲み込んだ後も余韻は長く、口の中に心地よい香りが広がります。

飲み頃

飲むタイミングは今飲むのがおすすめです。

熟成感の過程をまさに楽しめる時期になっています。香りは発展的であり、外観、香り、味わいはまさに熟成していく様を感じられることができる状態になっています。果実のトーンも日に日に変化していくので、数日かけて楽しめるワインになっています。

個人的には2日目、3日目の味わいが好みでした。

まとめ

いかがでしたか?今回はオルネライアのサードワイン「Le Volte dell’Ornellaia 2019」のテイスティングレポートをお届けしました。

香りが開くのに少々時間はかかりましたが、時間をかけてゆっくりと楽しむことで開く過程を楽しむことのできるワインとなっています。熟成感も出てきており、こなれたワインが好きな方にも向いています。

「Le Volte」の現行ヴィンテージは2022年ですが、セパージュが年によって変わっているため、味わいの幅もあるかもしれません。今度はフレッシュな「Le Volte」も試してみようと思います。

あなたのワイン選びの参考になれば幸いです。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょ

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