こんにちは。わいんとくすりです。
今回はDOCG Ruchè di Castagnole Monferrato(ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラート)をテイスティングしていきます。生産者はCRIVELLI(クリヴェッリ)、土着品種Ruchè(ルケ)から造られるワインは見かける機会も少なく、私自身も今回が初体験です。どのようなワインなのかとても楽しみです。
この記事はこんな人にオススメ
この記事でわかること
ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラートの特徴がわかる
結論からいってしまうと、とても強いお花の香りが感じられる、とてもアロマティックな赤ワインでした。Ruchèはもともと特徴的なお花の香りがすると言われており、まさにその通りだったというわけです。
では、生産者や栽培・醸造、実際のテイスティングを見ていきましょう。
原産地呼称
DOCG Ruchè di Castagnole Monferratoはイタリア、ピエモンテ州のDOCGで2010年にDOCから昇格しました。生産地域はアスティ県のモンフェッラート地区にある7つの自治体に限定されます。実はCastagnole Monferrato以外でも生産は可能です。
使用できるブドウ品種はRuchèが90%以上、残りの10%はBarbera(バルベーラ)かBrachetto(ブラケット)です。
ちなみにRuchèと書いて「ルケ」と発音します。「ルチェ」ではありません。イタリア語の「h」は発音しないのです。
Ruchèは熟すと香りの成分が強く、糖度も上がりやすいことが知られており、まさにアロマティック系ブドウ品種の特徴を有しています。そのため、昔は生食や甘口ワインの原料とされていた背景もあるそうです。
これが辛口として仕上げられるようになったのは1960年代以降の比較的最近の話と言われています。以下に特徴をまとめています。
DISCIPLINARE DI PRODUZIONE DEI VINI A DENOMINAZIONE DI ORIGINE CONTROLLATA E GARANTITA “RUCHÈ DI CASTAGNOLE MONFERRATO” に記載されている特徴は以下の通りです。
生産者情報

クリヴェッリはイタリア、ピエモンテ州を拠点にワイン造りを行う小規模の生産者で、FIVIに加盟しています。FIVIについてはこちらをご確認ください。
1860年ごろにセッラ・クリヴェッリ氏がカスタニョーレ・モンフェラートに2haのブドウ畑を開いたことがクリヴェッリの始まりです。2haはおよそ東京ドームの半分弱くらいの広さです。
1979年にマルコ・マリア・クリヴェッリ氏が経営を引き継いだときに栽培面積を拡大、1990年代にはヨーロッパ・アメリカ市場に向けて輸出を開始するようになりました。現在は息子であるジョナサン氏が妻と共に経営を担っており、テロワールに敬意を表した良質なワインを造りを目標に日々努力をされています。
ピエモンテをしっかりと表現するクリヴェッリの商品は以下の4つです。
今回はクリヴェッリを代表するRuchè di Castagnole Monferratoをテイスティングしていきます。
基本情報

ワインは生産者や栽培環境、醸造過程といった背景も知ることで、より興味深く味わうことができます。この点にも目を向けてみていきましょう。
栽培
クリヴェッリ社のブドウ畑はBasso Monferrato Astigiano(バッソ・モンフェッラート・アスティジャーノ)の丘陵地帯に位置し、その中でも栽培に最も適すると言われる「Montiòの丘」にあります。標高はおよそ240m。
この丘陵地帯は大昔が海底であったため、海由来の貝殻が多く土壌にみられ、ミネラル豊富な石灰質と凝灰岩の土壌構成です。
フランスのシャブリのようなミネラル豊かなワインが連想されます。シャブリとの大きな違いは、このカスタニョーレ・モンフェッラートでは赤ワインが有名であるということ。土壌からの味わいがワインにどのように影響するのか興味深いところです。
「Montiòの丘」に8ha、南〜南西向きの畑を有しており、ルケをはじめ、グリニョリーノやバルベーラ、シラーズが栽培されています。シラーではなく、しっかりと「Shiraz:シラーズ」の記載。あえてこの表記なのかどうかはよくわかりませんでした。
醸造
醸造に関する情報はほとんど見つけることができませんでしたが、9月中旬に手摘みで収穫したブドウを定温で12〜15日間アルコール発酵。その後ステンレスタンクにて4ヶ月の熟成されているようです。
このことからわかることは、
ルケの特徴をしっかりと活かすため、ステンレスタンクで発酵、熟成が行われている
ということです。
ヴィンテージ情報
Ruchè di Castagnole Monferrato 2022のヴィンテージチャートをピンポイントで見つけることができませんでした。
Ruchèは豊かな香りと果実味を楽しむことができるワインに仕上がっているので、過度にヴィンテージ情報に左右される必要はないかもしれません。そもそも熟成云々の対象ではないかもしれませんね。
実際にテイスティングをしてみて

外観
淡いルビーレッド。エッジはまだまだ紫。粘性は比較的強く、じっとりとしたいくつもの涙が壁面を伝います。

色は淡めで紫も見えるので若さも感じますが、成熟度が高く、豊かな印象を受けます。
香り
1日目:強い薔薇やゼラニウムといったお花の香りとアルコールの印象。パワフルなアルコール感が前面に出てくる。
2日目:程よくアルコール感が抜けてお花の香りが全開に。グラスいっぱいにブーケのような香りが立ち込めます。ボトルのラベルの意味がわかる!これだけアロマティックな赤ワインはなかなか思い浮かびません。
3日目:お花の香りがやや抜けつつある。香りのピークは2日目でした。
香りの印象は若々しく薔薇を連想させるお花のアロマをとてもよく感じます。
味わい
中心にあるのはしっかりとした果実味。タンニンもしっかりとしており、口中を程よく引き締めます。酸の印象は丸みがあって穏やか。1日目はアルコールのボリューム感が先行していましたが、2日目以降は果実味が主体です。
余韻は長く、飲み込んでからもお花の香りが長く続きます。
充実した果実味とまろやかで厚みのある味わいに仕上がっています。
飲み頃
このワインはなんといっても香りを楽しむワインです。このお花の香りは時間の経過とともに失われてしまいます。
今がまさに飲み頃!無理に熟成させる必要はないでしょう。
まとめ
いかがでしたか?今回はクリヴェッリのRuchè di Castagnole Monferrato 2022テイスティングレポートをお届けしました。
DOCGの規定と照らし合わせてみると、外観は記載通りでした。香りの印象は鮮烈なお花の香りがまさに表現通りでした。違いとしてはタンニンが思いの他しっかりとしていたことですね。それでも規定から外れていないワインであることはよくわかりました。
Ruchèはまさに香水のようなワインで、お花の香りがよくわからないという方には是非飲んでもらいたいワインです。これがお花の香りなのかと体験することが出来ますよ。
あなたのワイン選びの参考になれば幸いです。
ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

薬剤師/2023ワインエキスパート/イタリアワイン好き/寅年
とあるワインバーでワインのセミナーを聞き、ワインを学習の対象として見るようになりました。さらに体系的な勉強がしたいと思い、2022年にワイン検定ブロンズ、シルバー、2023年にJSAワインエキスパートを取得。このブログでは試験で得られないイタリアワインの面白さをお届けしていきます。
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