こんにちは。わいんとくすりです。
今回はFriuli Colli Orientali Refosco dal peduncolo rosso DOC(フリウリ・コッリ・オリエンタリ・レフォスコ・ダル・ペデュンコロ・ロッソ)をテイスティングしていきます。生産者はGiovanni Dri il Roncatです。
フリウリ・コッリ・オリエンタリはいくつかの品種が認められていますが、今回は昔から気になっていたRefosco(レフォスコ)という品種100%で造られるワインです。
気になる方は要チェック!早速みていきましょう。
この記事はこんな人にオススメ
この記事でわかること
フリウリ・コッリ・オリエンタリ・レフォスコ・ダル・ペデュンコロ・ロッソの特徴
結論からいってしまうと、10年経過した現在でも若さは健在で、土壌由来のパリッとしたミネラル感、酸とタンニンもしっかりとした複雑さのあるワインでした。
そう思わせる理由はなんなのか?生産者や栽培・醸造、実際のテイスティングについて見ていきましょう。
生産者について

ジョバンニ・ドリ・イル・ロンカットはイタリア、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州にあるラマンドロを拠点にワイン造りを行う生産者です。
家族経営のため生産量は少なく、所有するブドウ畑はわずか9ヘクタール。過酷な環境の中にありながら、シンプルで誠実な果実を育むブドウ畑の力強さを信じて手間暇を惜しまず、ワイン造りを行っています。
40年前まではほぼ無名であったこの地のワインを、弛まない努力でラマンドロワインの価値を高め、世界中に知らしめた生産者でもあります。
ワインの生産は一部国際品種も見られますが、レフォスコやスキオぺッティーノ、ピニョーロ、ピコリットといった土着品種を主に使用。生産はワインのみならず、自社で蒸留したグラッパもあります。
ワインに入る前に
ブドウ品種
レフォスコという品種をご存知でしょうか?
ソムリエ・ワインエキスパート試験の教本にはレフォスコ・ダル・ペドゥンコロ・ロッソと記載されています。イタリアで一番名前の長い品種なのだとか。
ブドウの特徴は、「ダル・ペドゥンコロ・ロッソ(=赤い果梗)」と大きな青紫がかった房です。樹勢は強く、ゆっくりと熟成するため、十分な日照が不可欠とされています。
主にフリウリを代表する品種で有名ですが、お隣のスロヴェニアでも栽培が行われています。

出来上がるワインの特徴は豊かな果実味にしっかりとした酸、やや青いニュアンスを感じる品種のようです。青さというと、どことなくメルローやカベルネを思い起こさせますね。
原産地呼称:DOC Friuli Colli Orientali

原産地呼称の記事についてはこちらをご覧ください。
DOCフリウリ・コッリ・オリエンターリはフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の東部、スロベニアとの国境近くに位置する生産地域。DOCGのラマンドロを包括している地域でもあります。
使用される品種は、今回のレフォスコ以外にもピノ・ビアンコやピノ・グリ、リボッラ・ジャッラ、ピニョーロにピノ・ネロなど他にも土着品種、国際品種が認められています。
DOCフリウリ・コッリ・オリエンターリの味わいは以下の通りです。
最低アルコール度数は11%、最低総酸度は4.0g/Lとなっています。
基本情報~栽培・醸造~

ワインは生産者や栽培環境、醸造過程といった背景も知ることで、より興味深く味わうことができます。この点にも目を向けてみていきましょう。
畑
標高350〜370m、南向きの畑でミネラルを豊富に含む泥灰土土壌。
この泥灰土土壌はポンカ土壌と呼ばれており、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州特有の土壌です。その特徴は多孔質の比較的脆い岩。その穴にブドウの根が入り込むことでブドウにミネラルが与えられます。
醸造
20日間のマセラシオンを行い、天然酵母によりアルコール発酵を行います。2回デキャンタして澱を取り除いてからステンレスタンクにて36ヶ月間以上の熟成が行われます。
下記が基本情報です。
実際にテイスティングをしてみて

外観
深みがあり、やや曇りがかったガーネット。エッジはまだ紫がみえており、はっきりとした熟成の印象はない。ノンフィルター?と思う外観。
粘性は中程度〜やや強め。

外観からは、若々しさが感じられ、成熟度の高さが感じられる。
香り
抜栓したてはやや閉じた印象だが、すぐに開いてきた。
フレッシュなラズベリーにバラやスミレ、ローリエ、杉、ドライハーブといった精油を思わせる香りがあります。ややスーッとしたメントールっぽさも感じました。
樽をかけていないにも関わらず、多くの要素が感じられます。2015年ヴィンテージだからか、少し乾いた印象を受けました。
香りの印象としては、果実由来の第一アロマが優位、少し熟成感がある、という感じ。まだまだ若い。
味わい
アタックは比較的穏やか。
ソフトでまろやかな果実の印象に舌をピリッと刺激するミネラル、生き生きとした酸味が長く続きます。タンニンはシルキー。口の中を引き締める感じはありましたが、タンニンではなく、豊富な酸が由来だと感じました。
中盤から後半にかけて果梗由来?の青さを感じる香りが鼻を抜けます。余韻はやや長め。
全体のバランスとしては少し果実とタンニンが落ち着いてきており、酸がやや突出している印象です。
評価としてはエレガントで余韻の長いワインです。
飲み頃
果実感は残りつつ、非常にバランスよくまとまっていますが、酸はしっかりとしているため、もう少し熟成してみるのも良いかもしれません。
果実感が欲しければ、今飲むのがおすすめ。
熟成感を味わいたければ、もう少し寝かせるのもあり。
ペアリング
ワインとのペアリングを少し考えてみましょう。
ワインの特徴としては酸がしっかりとしており、タンニンは穏やか、ミネラル感が強いことが挙げられます。これをどのように扱っていくかがポイントになります。
私のおすすめは魚介です。
赤身のお魚のカルパッチョはドレッシングに酸を効かせることで、ワインの酸味が穏やかになり、ピュアな果実の印象が顔を覗かせます。赤身以外にも旬のホタルイカと合わせるのもおすすめです。
もう一つは赤海老を使用したトマトパスタ。赤海老は頭のミソからしっかりと出汁をとり、トマトソースに旨みをプラス。おすすめのパスタはリングイネ。噛見応えのあるパスタと濃厚なソースの旨味が口の中に広がりますが、ワインのミネラル感と酸味がすっきりさせてくれます。
是非お試しください。
まとめ
いかがでしたか?今回はフリウリ・コッリ・オリエンタリ2015のテイクティングレポートをお届けしました。
今回のレフォスコという品種は熟成能力も高く、酸とタンニンがしっかりとしています。熟成による変化もあってか、果実味が前面に出てくるタイプではなかったため、ワインをある程度飲みなれた方のほうが楽しめるワインだと感じました。
より若いビンテージであれば、果実の風味がより感じられ、また違った印象になるかもしれません。
ショップではなかなか見かけないワインではありますが、Amazonや楽天などで探してみてくださいね。
ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう

薬剤師/2023ワインエキスパート/イタリアワイン好き/寅年
とあるワインバーでワインのセミナーを聞き、ワインを学習の対象として見るようになりました。さらに体系的な勉強がしたいと思い、2022年にワイン検定ブロンズ、シルバー、2023年にJSAワインエキスパートを取得。このブログでは試験で得られないイタリアワインの面白さをお届けしていきます。
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