Montecarlo DOC とは?トスカーナの小さなワイン産地の魅力

イタリアワイン

こんにちは。わいんとくすりです。

今回はトスカーナ州で白ワインが有名な小さな生産地Montecarlo(モンテカルロ) DOCのお話です。なぜトスカーナの地で白ワインが有名なのか?それを紐解いていきましょう。

白ワインについては以前書いたヴェルメンティーノの記事も参照いただけると嬉しいです。

それでは早速モンテカルロについて見ていきましょう。

モンテカルロDOC総論

モンテカルロDOCは、トスカーナ州北部にある街ルッカの東側に位置する小さな丘陵地帯で造られています。認定は1969年、白・赤が認められており、甘口ワインであるヴィン・サントの生産も可能です。

丘陵地帯ではあるものの、アペニン山脈からは離れていることもあり、標高は平均で海抜25~75m(最大190m)とそこまで高くありません。畑の向きは東~南東。気候条件は地中海性気候の影響が大きく、夏は暑く乾燥し、秋から冬にかけて降雨が集中します。

特徴的なのは使用可能なブドウ品種で、国際品種が多く認められています。ボルゲリやマレンマのエリアで国際品種が成功を収めたのは有名な話ですが、このモンテカルロDOCでも多くの品種が栽培されています。

醸造の規定を見てみると、白はトレッビアーノ・トスカーノ(30~60%)を主体にセミヨンやソーヴィニヨン、ピノ・グリ、ピノ・ビアンコ、ヴェルメンティーノ、ルーサンヌなど、赤はサンジョヴェーゼ(50~75%)にカナイオーロ・ネーロ、メルロー、シラー、カベルネ系のブレンドが認められています。

ヴェルメンティーノ、ソーヴィニヨン、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローに限っては単一での醸造も認められており、85%以上使用することで、ラベルの表記も行う事が可能です。

これらのブドウ品種以外にもモンテカルロDOCには合計87品種が認められており、それぞれの生産者が最適な品種を選択をして栽培を行っています。

87品種ともなると、選択肢が多すぎてどれにしようか悩んでしまいますね。

国際品種が多い理由|モンテカルロの歴史から考える

モンテカルロではなぜ国際品種の使用が広まったのでしょうか?その秘密は歴史に隠されていました。

モンテカルロのワイン造りの歴史は古く、西暦846年に書かれた文書にはすでにワインの生産や税にかかる文言が残されています。

中世後半になると周辺地域の開拓も進み、ワインの生産が拡大していきました。そこに修道院の貢献加わったことで品質の面でも向上していきます。特に南東のCoste di Vivinaiaは優良な区画として記録されています。

モンテカルロのワインは、周辺の街であるピサ(斜塔で有名な街)やフィレンツェでも流通していきます。その品質の高さから、1567年までトレッビアーノをメディチ家に献上していた記録も残されています。

メディチ家以外にも、1408年にルッカの地を訪れていたローマ教皇であるグレゴリウス12世は昼食の際に飲んだモンテカルロのワインを称賛し、皇居でもモンテカルロのワインを楽しめるように仕入れさせたのだとか。

メディチ家とローマ教皇に気に入られたワイン、もちろん市場価値は高くなり、フィレンツェの市場では取引価格が当時の中で最も高いワインとなっていたようです。

このような背景の中、ワインメーカーFattoria Marchi Magnani(ファットーリオ・マルキ・マニャーニ)のオーナーであるGiulio Magnani(ジュリオ・マニャーニ)は1870年ごろ、さらなる品質向上のために渡仏します。

彼はボルドーやローヌ、ブルゴーニュで学び、ボルドーからはソーヴィニヨン、セミヨン、カベルネ・ソーヴィニヨン/フランを、ローヌからはルーサンヌとシラー、ブルゴーニュからピノ・ブランとピノ・グリをモンテカルロに持ち帰り、栽培を始めます。この中からトレッビアーノに最適なブレンド品種の模索を行ったことで、より品質の高いワインを仕上げる事が出来るようになりました。

これがモンテカルロでの国際品種栽培の始まりです。

モンテカルロワインは1930年にはクイリナーレ宮殿で行われたサヴォイア公ウンベルトとマリア・ジョゼの結婚式でも提供されています。当時は「モンテカルロのシャブリ」とまで言われていたようです。一時は下火に入りますが、最近再び注目を集めています。

モンテカルロDOCの生産者

ここでモンテカルロDOCの有名な生産者を挙げておきます。もともとが栽培面積の小さい土地で、生産量も決して多くはないので、1社だけです。すみません。

Buonamico(ブオナミーコ)

ルッカの東にある「モンテカルロ DOC」に拠点を置く家族経営ワイナリー。

1960年代初頭にトリノの有名なレストランへモンテカルロのワインを提供するために設立。最小のDOCのなかで、最大級である100haの敷地を持ち、その内45haが栽培面積です。

モンテカルロDOCエチケッタ・ビアンコ/ブルをはじめ、ヴェルメンティーノやヴィオニエ、ピノ・ビアンコと多彩なラインナップを揃えています。フラッグシップはなんとシラー50%、サンジョヴェーゼ50%のロゼスパークリングと気になりすぎます。

まとめ

いかがでしたか?今回はモンテカルロDOCについてまとめてみました。

モンテカルロに国際品種が多く使用されているのは、ジュリオ・マニャーニが品質向上のためフランスから持ち帰ったことが理由です。

見知らぬ多くのブドウ品種を栽培する彼の姿は、周りの人からは変わり者に映っていたかもしれません。ですが、彼のワインへの情熱があったからこそ今も高い評価を得ている生産地域になります。

マイナーな産地で、流通量も決して多くはありません。なかなか見かける機会は少ないかと思いますが、見かけた際は是非手に取ってみてください。

こんなこと言っている私自身、飲んだことないんですけどね(泣

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

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