マルケ州の料理とワインの特徴|アドリア海沿岸で最も優れた赤ワイン!?

生産地域

こんにちは。わいんとくすりです。

イタリアのワイン産地を巡っていきます。今回はマルケ州の料理やワインについてみていきたいと思います。

マルケ州は古代から栄えた港町であり、イエス・キリストの生まれた重要な巡礼地です。加えて、隠れた銘酒も生産されており、「アドリア海沿岸で最も優れた赤ワイン」と古代ローマから知られる銘柄が造られます。

今回の記事を読んでいただければ、マルケ州の郷土料理やワインの特徴について理解が進むと思います。是非ご一読ください。

お断りになりますが、総論の記事ですので、個別のD.O.C.G.やD.O.C.の詳細な記述については避けさていただきます。今後詳しくみていこうと考えていますので、今回はご容赦願います。

マルケ州概論

イタリア半島中部に位置するマルケ州は、北にエミリア・ロマーニャ州、西はトスカーナ州とウンブリア州、南はアブルッツォ州・ラッツィオ州に接しており、東にはアドリア海が広がります。

州都は古代より港街として栄えてきたアンコーナ。他にも「ルネッサンスの理想都市」とまで褒め讃えられるウルビーノ、イエス・キリストの生家が移されたとされる重要な巡礼地ロレートを有します。

美しい緑の丘陵地帯でブドウ栽培が行われており、白ワイン、赤ワインがバランスよく造られています。

気候・風土

州の69%が丘陵地帯で、残りの31%が山岳地帯となっており、平野部がほとんどありません。

173kmにわたる長い海岸線はアンコーナ近くの石灰岩の断崖モンテ・コネロ岬により中断されています。有名な銘柄のある中部〜南部にかけては主に石灰質土壌で、砂・粘土が入り混じります。

ウンブリア州との州境にあるアペニン山脈から多くの川がアドリア海に向かって流れ出しています。

アンコーナより北側では亜大陸性気候と地中海性気候が混ざり、南では地中海性気候となります。夏の暑さは海からの風により和らげられています。

マルケ州の料理

マルケ州は硬質小麦の生産量はイタリア3位、漁獲量2位、野菜類の生産量も上位になります。豊富な食材のあるマルケ州の料理をみていきましょう。

前菜で有名なものにアスコリ・ビチェーノ周辺で名産とされる大粒のグリーン・オリーヴを使った詰め物のフライ「オリーヴェ・アスコラーネ」があります。オリーヴの種を抜いた部分にミンチ肉などの詰め物をしており、ご当地スナックにしては手間がかかっています。

港街のアンコーナには「ブロデット・ディ・ペッシェ・アッランコネターナ」があります。トマトを使った魚介のスープで、フランスのブイヤベースのような料理です。マルケ州のブロデットは13種類の魚介を入れるという条件があり、ブイヤベースと比べると豪華なものになります。

マルケ州のパスタといえば「ヴィンチスグラッシ」です。ラザニアにはなりますが、通常と異なる点は内臓類を多数使ったラグーを使用していることです。とても濃厚で贅沢な味わいに仕上がります。

チーズとして代表的なものは「カショッタ・ドゥルピーノ」と「フォルマッジョ・ディ・フォッサ・ディ・ソリアーノ」で、どちらも羊乳+牛乳から造られる非加熱圧搾タイプです。共にD.O.P.に認定されています。

マルケ州のワイン

隠れら銘酒のあるマルケ州。どのような品種が栽培されているのでしょうか?

主なブドウ品種

白ブドウ

Verdicchio(ベルディッキオ):
マルケ州で広く栽培される品種で、フレッシュなデイリーワインからフルボディの長期熟成ワインまで幅広いタイプのワインが造られます。しっかりとした酸とミネラルが特徴。

Pecorino(ペコリーノ):
主にマルケ州、アブルッツォ州で栽培される品種。豊かな果実味と堅固な酸が特徴で、ワインに厚みを加えます。

黒ブドウ

Montepulciano(モンテプルチアーノ):
中部イタリアを代表する品種の一つ。最も有名なものはアブルッツォ州のワインですが、マルケ州も負けていません。色濃くしっかりとした果実味を持っています。マルケ州ではサンジョヴェーゼとブレンドして使われることが多いです。

Ra Boe, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

Vernaccia Nera(ヴェルナッチャ・ネーラ):
マルケ州のマチェラータ周辺で栽培される珍しい品種。濃いめの色合いで、スパイシーでフレッシュな果実味を持っています。

主なD.O.P.ワイン

Verdicchio die Castelli di Jesi(ヴェルディッキオ・デイ・カステル・ディ・イエージ):
アンコーナ周辺の丘陵地帯で造られるヴェルディッキオ主体の白ワイン。元々は魚介に合うフレッシュなものが多かったが、現在は熟成に耐える優れた酒質も造られています。この銘柄のRiservaクラスはD.O.C.G.に認定されています。

Conero(コーネロ):
アンコーナの沿岸部、コーネロ山周辺の丘陵地帯で造られる力強い赤ワイン。Montepulcianoを主体にSangioveseもブレンドされています。「アドリア海沿岸で最も優れた赤ワイン」と古代ローマ時代よりその名を知られています。

Vernaccia di Serrapetrona(ヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナ):
ヴェルナッチャ・ネーラを主体とした珍しい赤の発泡性ワインで、最低40%のブドウを陰干しされています。味わいは甘口から辛口まで様々。

まとめ

いかがでしたか?マルケ州の料理とワインについて記載させていただきました。
まとめてみますと、

  • ブドウは美しい丘陵地帯で栽培され、赤・白ワインが半々の割合で造られている
  • 豊富な食材が揃っており、食の豊かさが伺える料理が多い
  • フレッシュなデイリーワインからConeroを筆頭に長期熟成可能なタイプまで幅広いスタイルがある

マルケ州はあまり名前も知られていないような州ですが、ブドウの栽培条件は申し分なく、良質なブドウのできる地域です。そのブドウから造られるワインはデイリーなものから特別な1本まで幅広く楽しめる生産地域です。是非一度試してみてください。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお会いいたしましょう。

コメント