ワインの基礎知識 知っておいて損はない!ワインの醸造について

みなさんこんにちは。わいんとくすりです。前回に引き続き、ワインについて基礎的な内容をお伝えしていこうと思います。

 

みなさん、ワインのつくり方ってご存じですか?

 

私はワインを体系的に勉強するまでは気にも留めたことがありませんでした。楽しく飲めればそれで良かったのです。少し勉強していくとわかるのですが、ワインの味を検討する上で、ワインのつくり方を知らなければ話についていくことが出来なくなります。

 

産地のことよりなによりも、まずはつくり方から入ることをお勧めします。この記事では赤ワインと白ワインの基本的なつくり方をご紹介し、よく使われるキーワードについてもわかりやすくお伝えしていきます。

 

そんな記事を書く私ですが、2023年にオンラインのワインスクール、ワインブックスで学習をさせていただき、無事1度でワインエキスパートの資格を取得することができました。そこで得た知識をもとにみなさんへできる限りわかりやすくお伝えできればと思います。

 

それでは早速いってみましょう。

 

ワインの基礎知識 知っておいて損はない!ワインの醸造のこと

醸造に関するキーワード

醸造とは?

そもそも「醸造」の意味をみなさんはご存じですか?なんとなく・・・で理解されていることが多いのではないでしょうか?

 

辞書を引いてみると、醸造とは「米や大豆などを発酵させて、酒・味噌・醤油などを造ること」と定義されています。発酵という技術自体は日本にも古くからあり、味噌や醤油、日本酒などに用いられる馴染み深い技術ですよね。

 

醸造の醸は「醸(かも)す」と呼ばれ、発酵を意味する漢字になります。漢字の意味を見ると、「発酵して造る」と読んで字のごとくですね。

 

発酵とは?

では、「発酵」とはなんなのか?

 

こちらも辞書を引いてみると、発酵とは「酵母菌や細菌などの働きによって、物の性質が変化すること」と書かれています。今後、発酵という言葉が使われていた場合、そこには必ず菌が存在し、何かしらの物質の変化を伴っているということを意味しています。ここは覚えておきましょう。

 

菌のこと

菌といっても幅広く、乳酸菌や大腸菌などが含まれる細菌や真菌(カビ)、酵母など様々な菌が存在します。ワイン造りにおいては酵母菌が大変重要な働きをします。なんといっても、ワインはブドウ果汁と酵母だけで造られているのですから。

 

酵母の働きによって、ブドウ果汁は発酵することが出来、ブドウ糖はアルコールと二酸化炭素に変化します。アルコールはそれ自体が安定な物質で、水に溶けやすい性質があるため、そのまま液中に溶け込みます。二酸化炭素は気体になりますから、発酵中はシュワシュワと空気中に抜けていきます。

 

また、酵母には「天然酵母」と「培養酵母」があります。

天然酵母はブドウに自然と付着していたりする土着酵母のことを指します。発酵開始までに時間がかかったり、生産が安定しなかったりと気難しいところがあります。

一方の培養酵母は安定した発酵が得られるほか、醸造をするうえで有利となる働きを持ち合わせているものもあります。

 

一見すると「培養酵母」を選択したくもなりますが、ワインは「テロワール」をいかに表現するかが重要になってきます。そのため、「天然酵母」にこだわってワイン造りを行う生産者も少なくはありません。

 

生産者こだわりの「天然酵母」と合理性の「培養酵母」どちらを選択するかは生産者次第。まさに職人の世界です。ワクワクしませんか?

 

ワインの醸造

いよいよワインのつくり方を見てきます。

今回は赤ワインと白ワインです。他にもスパークリングワインやロゼワイン、今はオレンジワインというジャンルもありますが、混乱するだけですので、シンプルに赤ワインと白ワインに絞ってご紹介していきます。

 

白ワインができるまで

白ワインは白ブドウから主につくられます。例外的に黒ブドウからやさしく果汁を取り出し(ソフトプレス)、黄緑色の果汁だけを使って白ワインを仕込むこともあります。

 

収穫されたブドウはフレッシュさを保つために、速やかに醸造施設に運び込まれます。搬入後はブドウの房についている茎(果梗:かこう)を取り除きます。この工程を除梗と呼び、茎中に含まれる渋み成分のタンニンが果汁に残らないようにしています。

 

粒になったブドウはぐちゃぐちゃに破砕され、果汁と果皮や種が一緒になった状態になります。このまま放置してしまうと果皮や種から茎と同様に渋いタンニンが抽出されてしまうため、速やかに果汁のみを取り出します。この果汁と果皮・種を分ける作業を圧搾と呼びます。

 

圧搾時に圧力をかけずに取り出した果汁をフリーラン果汁、圧力をかけて取り出した果汁をプレス果汁と区別して呼びます。フリーラン果汁は果皮などの成分がプレス果汁より少なくなるため、よりクリアな味に仕上がりになります。

 

取り出された果汁は酵母を添加されます。いよいよアルコール発酵の開始です。果汁がワインに変わる瞬間ですね。

 

酵母も生き物ですので、活動しやすい環境があります。一般に白ワインのアルコール発酵は約20度前後で行われます。温度が低すぎても、高すぎても酵母の活動を妨げてしまいます。

 

発酵の容器はステンレスタンクやオーク樽、コンクリートタンクなど複数あります。ですが、主流は温度管理のしやすさ、衛生管理のしやすさからステンレスタンクの使用が増えてきているようです。

 

アルコール発酵終了後、ワインはステンレスタンクやオーク樽で貯蔵されます。貯蔵していると、オリと呼ばれる酵母の死骸が底に沈澱します。飲んでも害はなのですが、見栄えの観点からも分ける場合が多いです。このオリとワインを分ける作業をオリ引きと呼びます。上澄みを別の容器に移しかえるイメージです。

 

オリ引きされたワインには他にも白濁する原因物質(主にタンパク質)が含まれています。このタンパク質を取り除くために卵白やベントナイトを加えます。卵白などは溶け込んだタンパク質を凝集させる働きがあります。塊になったタンパク質は濾過で簡単に取り除くことが出来るようになります。この作業はオリ下げと呼ばれ、より清澄度を高める効果があります。

 

濾過後のワインは瓶詰めされ、出荷。私たちの手元へ送られてくるのです。

 

赤ワインができるまで

大まかな流れは白ワインと同様ですが、もちろん異なる点もあります。

まずは原料のブドウですが、赤ワインは黒ブドウのみが主原料です。一部例外的に白ブドウをブレンドされることもありますが、黒ブドウが原料なんだと覚えておきましょう。

 

赤ワインは収穫後、醸造施設へ運び込まれ、除梗、破砕と白ワインと同じ流れになります。白ワインの場合はここで果皮や種を分ける圧搾をしますが、赤ワインは先にアルコール発酵を行います。というのも、赤ワインの味の要は渋み、タンニンだからです。

 

アルコール発酵中、果汁は果皮や種と一緒に漬け込まれているため、タンニンや色素が果汁中に抽出され、渋みや色味が加わります。この過程を「醸し」と表現します。果汁に溶け出した渋みが赤ワインの最大の特徴です。渋さの強弱や質(ゴツゴツ、なめらかなど)によってワインの印象は大きく変わってきます。

 

なお、アルコール発酵の温度ですが、白ワインが約20度前後だったのに対して、赤ワインは約30度前後と高めになっています。

 

アルコール発酵を終えたワインは圧搾され、ワインと搾りかすに分けられます。ワインはステンレスタンクやオーク樽で貯蔵されます。この際、鋭角的な酸味を和らげるため、マロラクティック発酵が行われることが多いです。

 

マロラクティック発酵とは、シャープは印象を与えるリンゴ酸が乳酸菌の働きによって丸みのある乳酸へと変化することを言います。少しヨーグルトのような香りがワインにあるのはこのためです。

 

白ワインでは酸が特徴となるため、マロラクティック発酵をするかどうかは品種や生産者の考え方次第です。

 

その後の流れは白ワインと同様で、オリ引き、オリ下げ、濾過、瓶詰めとなります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はワインの醸造についてみていきました。

まとめてみますと

 

・ワインを作るには酵母が必須。酵母の働きでアルコールがうまれる。

・フレッシュな酸が命の白ワイン。フレッシュな状態での醸造が重要。

・豊かな渋みが命の赤ワイン。その要は「醸し」の工程。

・赤ワインと白ワインのつくり方は概ね同じ。一番の違いは「圧搾」と「アルコール発酵」の順番

 

ワインができる工程を「知る」、「知らない」でワインへの理解は雲泥の差があります。細々とした用語などは割愛させていただいているため、比較的読み進めやすいかなと思いますので、とっかかりに読んでいただければ幸いです。

 

少し長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。

次回はスパークリングワインのつくり方をみていきたいと思います。

また次回の記事でお会いしましょう。

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