COSTE RUBIN BARBARESCO 2010|FONTANA FREDDA|テイスティングレポート

イタリアワイン

みなさんこんにちは。わいんとくすりです。

今回はイタリアワインの女王と称されるバルバレスコをテイスティングしていきます。ワインはピエモンテの名門FONTANA FREDDA(以下、フォンタナ・フレッダ)が造る「COSTE RUBIN BARBARESCO 2010|コステ・ルビン・バルバレスコ 2010」です。ワインを実際にいただいての感想を忖度なしで記載していきたいと思います。

フォンタナ・フレッダはクラシックなバローロの造り手として有名で、バローロの名声を先駆けて世界に発信した生産者でもあります。クリーンなワイン造りは海外からも高い評価を得ています。どのような味わいなのかをみていきましょう。

ワインは生産者や栽培環境、醸造過程といった背景も知ることで、より興味深く味わうことができます。この点にも目を向けてみていきましょう。

このレポートは2024年12月現在でのレポートです。ワインは飲むタイミングや保存状態によってその品質は大きく左右されます。また、官能表現になりますので、当然個人差もありますので、その点はあらかじめご了承ください。

フォンタナ・フレッダ

Stefan Bauer, http://www.ferras.at, CC BY-SA 2.5, via Wikimedia Commons

フォンタナ・フレッダはイタリア、ピエモンテ州セッラルンガ・ダルバを中心にワイン造りを行う生産者です。

フォンタナ・フレッダはもともと土地の名前ということをご存じでしょうか?その意味は「冷たい泉が湧き出る地」と言われています。

この土地は初代イタリア国王であるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世が愛した女性ローザ ヴァルチェラーナへ贈ったものです。

二人の長男であるエマヌエーレ・アルベルトがフォンタナ・フレッダの地でフォンタナフレッダ社の前身である「カーザ・エマヌエーレ・ディ・ミラフィオーレ」を創業します。ファーストヴィンテージのボトルには「Tenimenti di Barolo e Fontanafredda」の文字が刻まれています。

当時のワイン造りはブドウを栽培者から購入することが一般的でしたが、エマヌエーレ・アルベルトはよいブドウからよいワインを造るためにブドウ栽培から着手するようになります。300ha以上の土地で専門のスタッフを雇って農園の管理を行っていました。

1886年には他に先駆けてバローロ輸出を開始し、ワイナリーは生産量、販売を拡大し、最盛期を迎えます。

順調に見えた経営ですが、エマヌエーレ・アルベルトの死、アメリカの世界恐慌、フィロキセラにより危機に直面します。経営は悪化、ワイン事業・土地の利権はモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行へ売却されました。

新たなオーナーの指揮の下、積極的な設備投資が行われ、ワイン造りが再開されていきます。

第二次世界大戦後にはジュゼッペ・ブレッサーノの活動によりフォンタナ・フレッダのワインが高品質であることが広まります。その後もバローロ初の単一畑、クリュ・バローロ・ラ・ローザ、原産地呼称のバローロ・セッラルンガが認定されるなど高い注目を浴びるようになっていきます。

2015年よりサスティナビリティを意識した有機農法へ転換し、グリーンルネッサンスと呼ばれる環境への配慮、再生・変化・革新を基礎とした価値観の変化を目指しています。2021年には複数のサスティナブルの認証を取得しており、現在に渡って多くの取り組みを行っています。

受賞歴も多く、アメリカの評論誌Wine Enthusiastでは2017のEuropean winery of the yearに選出、Wine Spectorでは2022年トップ100ワインにランクインするなど国内外から高い評価を受けています。

基本情報 ~栽培・醸造~

Coste Rubin Barbarescoのブドウはトレイーゾ、ネイヴェ村の畑で収穫されたネッビオーロを使用しています。地質は粘土と石灰質、泥石灰岩質(マール)に富んでいます。

畑は南から南西向きに位置しており、良好な日照を確保しています。標高は250−300m。

栽培は垣根仕立て、長梢を残すギヨにて剪定が行われ、栽植密度は1haあたり4500本。密度的には極端に多い、少ないとは言えない感じです。バローロやランゲ ネッビオーロとも大きな違いはありません。

例年、収穫は10月に行われます。

収穫されたブドウは選果後、徐梗・破砕され、32〜33℃に温度管理されたステンレスタンクでアルコール発酵、マセラシオンを行い、その後マロラクティック発酵が行われます。マセラシオンは色素、タンニン、アロマの抽出を効率的にするためルモンタージュが定期的に行われています。

熟成はアリエ産の2000〜3000Lの大樽にて1年間行った後にボトリング。その後は瓶内にてさらに1年熟成を重ねてリリースとなります。

下記が基本情報です。

Fontana Fredda Coste Rubin Barbaresco 2010
  • 生産者  :フォンタナ・フレッダ
  • 原産地  :イタリア ピエモンテ
  • 品種   :ネッビオーロ100%
  • 呼称   :DOCG
  • 生産年  :2010年
  • アルコール:14.5%

Barbaresco 2010 ヴィンテージ情報

Barbaresco2010は涼しい生育期と収穫前の理想的な天候が特徴とされるヴィンテージです。

冬には頻繁に雪が降り、3月の寒さが厳しく、発芽は遅れます。4月に徐々に気温が上がったため成長が促されましたが、5月の雨のため再度成長が遅れました。

6月は比較的乾燥しており、半ばに開花を観測。その後も2週に1回程度のペースで降雨があり、過度の気温上昇が抑えられました。成長は好ましく、成熟がゆっくりと進みます。収穫は例年同様に10月中旬に行われ、十分な糖分に成熟したタンニンと色素を備えたネッビオーロが収穫されました。

2010年ヴィンテージはWINE ADVOCATESで95点、WINE SPECTATORでは97点と高得点がついています。質の高いワインはピュアでエレガント、しっかりとしたストラクチャーがあり、十分な熟成能力を備えていると評価されています。期待値があがりますね。

実際にテイスティングをしてみて

外観

褐色がかったルビーの色調。14年経過しており、熟成感がしっかりと色合いに表れています。粘性は高め。ゆっくり、じっとりとした涙。

香り

腐葉土やキノコの印象の中に、熟したプラムやドライイチジクのような果実感、ほのかな甘草の甘やかさが広がります。いかにも熟成されています!というような香り。

味わい

最初に少しキュッとする酸を感じますが、若いネッビオーロ程鋭くなく、落ち着いています。酸の後すぐに果実やアルコールの甘さが口いっぱいに広がります。遅れて力強いタンニンがきますが、口の中の収斂性は程よく、緻密でまさにビロードと表現できる。余韻は長く、心地よい香りが続きます。

飲み頃

14年経過と熟成されながらも果実の印象も感じられ、熟成の楽しみを体感できるタイミングです。まだピークアウトには至っておらず、熟成は可能と考えますが、今が1つの飲み頃であることは疑いの余地はないと思います。

近年は早いタイミングで楽しめるバローロも多いですが、昔ながらの熟成感を楽しむワインも良いですね。

まとめ

いかがでしたか?今回はFontana Fredda COSTE RUBIN BARBARESCO 2010のテイスティングレポートをお届けしました。

COSTE RUBIN BARBARESCO 2010は熟成を経ており、酸は落ち着き、きめ細かいタンニン。それでも果実の印象がしっかりと感じられる、まさに自分好みのワインでした。2010年ヴィンテージが店頭に並んでいることは少ないかと思いますが、もし見かけた際は購入を検討してみてください。

ちなみに現行のヴィンテージは2020です。エチケットも変更されており、少し分かりにくいかもしれませんが、横のボーダーが目印です。まだまだ熟成の必要はありますが、大きな変貌をとげる1本に間違いはないと思います。

あなたのワイン選びの一助になればと幸いです。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

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