知っているようで知らないイタリアのワイン法・格付けについて解説します

こんにちは。わいんとくすりです。

 

みなさんはワイン法という言葉を耳にしたことがありますか?

 

ワイン法とはワインの品質安定化のため、各生産国によってそのワイン名を名乗るために必要とされる条件を法的に定めたもののことを指しています。

 

今回はなぜそのような法律が必要になったのか、どのようなカテゴリが存在するのかといったお話をさせていただこうと思います。

 

この記事を読むことで、イタリアワインの格付けを知ることができ、今まで選んでいたワインとは別のワインを手に取ってみたくなります。

 

それでは早速みていきましょう。

 

知っているようで知らないイタリアのワイン法・格付けについて解説します

『ワイン法』誕生の経緯

ワイン法とは品質の安定を図る為、各生産国で、ワインの商品名を名乗る際に決められているルールです。なぜこのような法律が必要となったのか?

 

ヨーロッパ全土は19世紀前半、ブドウの樹が病害虫によって壊滅的な被害を受けました。その後も第一次世界大戦や世界恐慌によって経済は低迷。当然ワインも売れなくなっていきます。そのような状況下、偽造ワインや不正取引が横行し始めます。。

 

これをなんとかしようと1935年、フランスにてワイン法が制定されました。この法律はA.O.C.(原産地呼称制度)と呼ばれます。原産地を呼称するためには試飲検査を含めた様々な品質規格基準を受け、合格する必要が出てきました。

 

このフランスのワイン法はヨーロッパ、ひいては世界中のワイン法の基礎として今もなお使用され続けています。もちろんイタリアだって例外ではないですよ。

 

イタリアのワイン法、格付けとは?

実は原産地呼称保護の観点から言えば、フランスよりも先にイタリアにて行われていました。

 

時は1716年にトスカーナ大公のコジモ3世は著名なワインを保護するためにキャンティ、カルミニャーノ、ポミーノ、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラというワイン生産地の線引きを行います。これが世界初の原産地呼称とも言われています。

 

19世紀にはキアンティ・ワインの産地が定められ、20世紀にはBarolo:バローロなどの産地が定められるなど、個々のワインについての原産地呼称制度への動きが始まります。

 

1963年になると政府は最初の原産地呼称保護法である「ワイン用ブドウ果汁とワインの原産地呼称保護のための規則」を公布しました。この法律の中ではブドウの収量、ワインの収量、アルコール度数などが規制されています。

 

格付けは4段階で行われており、上から「統制保障原産地呼称」(Denominazione di Origine Controllata a Garantita:D.O.C.G.)、「統制原産地呼称」(Denominazione di Origine Controllata:D.O.C.)、「地理的生産地表示ワイン」(Vino da Tavola Indicazione Geografica Tipica:I.G.T.)、最も低いものはVino da Tavolaとなります。

 

D.O.C.G.にまでなると、醸造規定は厳しく、出荷に際しても国の検査を要します。

 

2010年にはヨーロッパ諸国連合(EU)と足並みを揃えるため、2008年施行のEU新ワイン規則に合わせた改正イタリアワイン法が施行されます。

 

改正後は格付けが3段階に変更され、上からD.O.C.とD.O.C.G.をまとめた「保護原産地呼称ワイン」(Vino a Denominazione di Origine Protetta:D.O.P.)、次にI.G.Tであった「保護地理表示ワイン」(Vino a Indicazione Geografica:I.G.P.)、Vino da TavolaはVinoとなりました。

 

新法が施行はされているものの、2024年現在でもI.G.T.やD.O.C.、D.O.C.G.の表記は可能となています。

 

格付けに関しては横文字が多くなってしましますが、まずは略号をおさえるだけでなんの問題もありません。

 

格付けの意義とは?

先ほどもお話ししたように、不正なワインなどを防ぐという目的はワイン法によって達成することができました。では、その中にある格付けにはどのような意義があるのでしょうか?

 

普通の消費者であれば、格が高ければ、おいしさの証明でもあるから大事な目安になりますよね。

 

上位の格付けになればなるほど、確かに高価だし、希少価値も高くなる傾向にあります。加えて、ブドウ品種、収量、熟成期間などが厳密に規定されているため、同じ原産地呼称の場合、味わいの方向性はある程度想像することが出来るようになります。

 

しかしながら、勘違いをしてはいけないことは格が高いからといって、必ず美味しいとは限らないということです。味覚による個人差はさておき、規定内でも不出来なワインは存在します。

 

その一例としてD.O.C.G.で最も有名といっても過言ではないChianti:キアンティにまつわるエピソードがあります。

 

キアンティはトスカーナ州にあるキアンティ地区(フィレンツェとシエナの間に広がる丘陵地帯)という比較的狭いエリアで造られるワインです。キアンティは美味しいと評判で人気が高かったのです。

 

そこで生産量を増やすため、キアンティの生産可能な境界線を拡大。この波に乗って儲けようとした生産者もいたことでしょう。キアンティの規定は満たすものの、キアンティとは名ばかりのワインも流通するようになってしまったのです。

 

次第にキアンティは低質なワインとして認知されるようになってしまいました。

 

こうなってしまっては、元々のキアンティ地区の生産者は黙ってはいられません。国に抗議、申し立てを行い、キアンティとの差別化のため伝統ある生産地としての表記である「Classico:クラシコ」が認められ、D.O.C.G.Chianti Classico:キアンティ クラシコが誕生しました。

 

この出来事からもわかるように、ワイン法や格付けは原産地を呼称するための「最低限のライン」ということを知っておきましょう。

 

また、ブドウ品種や醸造の規程にそぐわないなどの理由から、規程の緩いVinoで自由なワイン造りもイタリアワインの特徴であり、格は低くても美味しいワインがゴロゴロしています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はイタリアのワイン法について記載しました。

まとめてみますと、

 

・ワイン法は不正なワインを防ぐ目的で施行された。

・現在のイタリアワイン法は3段階で区分されるが、D.O.C.G.などの旧表記も可能。

・格付けが高いから美味しい保障はどこにもない。Vinoでも美味しいワインはゴロゴロある。

 

イタリアワインと言えばまずはD.O.C.G.を飲んでみたくなりますよね。ですが、D.O.C.G.などの格付けワインばかりにはなってほしくないと思います。是非一度自由なスタイルで造られたイタリアワインも楽しんでみてはいかがでしょうか?コストパフォーマンスの良い驚きのワインに出会えるかもしれませんよ。

 

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお会いいたしましょう。

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