世界遺産の景観と海運業の盛んな州~リグーリア州~

こんにちは。わいんとくすりです。

 

前回に引き続きイタリアのワイン産地を巡っていきます。前の記事でもお伝えしたようにイタリアは20州全てにおいてワイン造りを行っているワイン大国です。その生産量も毎年TOP3に入ります。

 

イタリアは日本同様、南北に長い国で、北と南とでは環境や気候が大きく異なります。

 

北にはアルプスの山々が連なる冷涼な環境ですが、南部は典型的な地中海性気候で温暖となります。加えて、フランスやオーストリアとの国境にも面していることから、それぞれの国の影響も少なくありません。

 

このような環境にあるイタリアを北部から中部、南部へと順番にみていきたいと思います。今回は北西部に位置し、海沿いの州であるリグーリア州です。

 

リグーリア州はイタリア第一の貿易港を有し、かつては4大海運国であったジェノヴァのある州です観光業も盛んで、世界遺産に登録されているチンクエ・テッレには毎年おおくの旅行者が訪れます。

 

そんなリグーリア州のお料理とワインについてみていきたいと思います。

 

今回の記事を読んでいただければ、魚介類を合わせた料理ともにリグーリア州のワインを手に取ってみたくなると思います。是非ご一読ください。

 

お断りになりますが、総論の記事ですので、D.O.C.G.やD.O.C.の詳細な記述については避けさていただきます。今後詳しくみていこうと考えていますので、今回はご容赦願います。

 

世界遺産の景観と海運業の盛んな州~リグーリア州~

リグーリア州概論

リグーリア州はイタリア北西部、リグーリア海沿いに位置する州です。西はフランスと国境を接し、北はピエモンテ州とエミリア・ロマーニャ州、東はトスカーナ州に接しています。

 

州都はイタリア最大の港街としても知られるジェノヴァです。

 

リグーリア州の面積はイタリアの中でも小さい方から3番目で、海と山に挟まれた細長い州です。面積の割に人口は160万人以上と多く、人口密度は高めです。

 

州の65%が山岳地帯で、35%が丘陵地帯を占めています。平地、ありません。さらに、土地の65%は森林なので、耕作可能な土地は限られています。背面には山、眼前には海という崖とも思える急斜面に段々畑を造り、ブドウが栽培されています。当然、機械の導入が困難で、すべて手作業で行われます。

 

気候は海沿いが温暖な地中海性気候で恵まれていますが、内陸部は亜大陸性気候と夏の暑さと冬の寒さが厳しい土地になります。

 

リグーリア州の料理

港街として栄えていることもあり、贅沢な料理が多いことが特徴の一つです。

 

リグーリア州を代表する料理として最も有名なのはバジル(バジリコ)のペーストです。日本では「ジェノヴェーゼ」として広く認知されていますよね。このペーストはプラの「バジリコ」、タッジャの「オリーヴオイル」、海岸線の「松の実」、ヴェッサリコの「ニンニク」、海路から来る「ペコリーノチーズ」など土地の食材を使った傑作です。

 

リグーリア州でのパスタとして特徴的なものが先の尖った螺旋状の「トロフィエ」があります。独特の形状をしており、一人前を作るのにも相当の労力を費やします。また、円形に型抜きしたパスタ生地に模様をスタンプして作る「コルツェッティ」も有名です。限りある材料に手を加えることで、価値を高めていることがわかります。

 

このようなパスタにバジルペーストを絡め、リグーリア州のワインをいただく。至福の時間ですよね。

 

港街なので、魚介類の料理もあります。その代表例が地元のご馳走である「カッポン・マーグロ」です。語源は庶民のご馳走であるカッポーネ(去勢雄鶏)と動物性脂肪がないというマーグロを組み合わせたもので、「最高のご馳走」という意味合いで用いられます。

 

たくさんの魚介類と野菜を茹でて、香草をたっぷりと使ったソース(サルサ・ヴェルデ)を添える料理です。漁師料理だったものが貴族の料理として磨かれたと言われています。

 

特産品としてはRiviera Ligure(リヴィエラ・リグーレ)と呼ばれる高品質のオリーヴオイルがあります。こちらは繊細な香りが持ち味で、非常にエレガントな仕上がりです。魚介類との相性が良いです。

 

リグーリア州の料理は手に入る食材を最大限に生かしたパスタの存在と、港街ならではの魚介類を用いた料理が目を惹きます。

 

リグーリア州のワイン

州の面積が小さい事や平地がない事からも、生産量は少なく、イタリア全体でみるとヴァッレ・ダオスタ州に次いで少ない生産量です。観光業が盛んであることもあり、地元消費が大半を占めているようです。造られるワインのタイプは白が68%、赤が32%と白ワインの生産が多めです。

 

代表的な土着品種

それではリグーリア州で主に栽培される土着品種をみていきましょう。土着品種を知ることで、イタリアワインは何倍にも楽しくなります。

 

白ブドウ

Bosco(ボスコ):

リグーリア州東部にあるD.O.C. Cingue Terreの主要品種です。厳しい栽培環境に適応してミネラル感に富んだ味わいになります。甘口ワインにも向いています。

 

Vermentino(ヴェルメンティーノ):

リグーリア州以外にもトスカーナ州、サルデーニャ州などで栽培されている品種。ティレニア海沿いで主に栽培されています。繊細で柔らかく、黄桃の香りがあり、後味にほのかな苦味が感じられるワインです。一般的にはフレッシュな果実味を楽しむタイプが多いですが、熟成タイプも造られます。

 

Pigato(ピガート):

Vermentinoの一種と考えられている品種。リグーリア州西部で栽培されており、黄桃のアロマ、ミネラル豊かなワインを生みます。

 

黒ブドウ

Rossese(ロッセーゼ):

リグーリア州西部で栽培される品種。D.O.C. Rossese di Dolceacqua(ドルチェアックア)の産地で多く栽培されています。中世から名高いブドウ品種で、淡いルビーの色調と赤いベリーの繊細な風味が特徴。

 

Ormeasco(オルメアスコ):

ピエモンテ州で出てきたDolcetto(ドルチェット)と同じ品種です。ピエモンテ州同様にフレンドリーな果実味と豊かな色彩があります。

 

主なD.O.P.

リグーリア州は東西に長い州で、D.O.C.G.はありません。ここではD.O.C.を西部と東部に分けてみていきましょう。

 

<西部>

Rossese di Dolceacqua(ロッセーゼ・ディ・ドルチェアックア):

内陸のフランス国境沿いのドルチェアックア近辺で造られる赤ワイン。ロッセーゼ95%以上を使用することが義務付けられています。色調は明るく、赤い果実の印象が特徴的。早飲みのスタイルから、長期熟成能力を有する様々なタイプがあります。

 

Riviera Ligure di Ponente(リヴィエラ・リグーレ・ディ・ポネンテ):

西部の広い範囲で造られるワイン。白はVermentinoやPigato、赤はRosseseを主要品種として造られています。赤、白、泡、甘口と多様なタイプが認められています。

 

<東部>

Cinque Terre(チンクエ・テッレ):

チンクエ・テッレとは「5つの村」という意味です。世界遺産にも登録されている段々畑で栽培されいてるブドウを使用。Albarola(アルバローラ)、Bosco、Vermentinoの合計が80%以上使用して造られます。断崖絶壁の険しい斜面で栽培されており、生産量も多くはありません。

 

陰干しして果汁糖度を高めた甘口ワインCinque Terre Sciacchetorà(チンクエ・テッレ・シャッケトラ)も高級ワインとして有名です。辛口、甘口ともに酸化熟成のトーンを有するのがCinque Terreの特徴です。

 

Colli di Luni(コッリ・ディ・ルーニ):

トスカーナ州にまたがるD.O.C.です。白はミネラル感あふれる優美なVermentino、赤は味わい深いSangiovese(サンジョヴェーゼ)を用いたワインが造られます。

 

まとめ

いかがでしたか?リグーリア州の料理とワインをご紹介してみました。

まとめてみますと

 

・州都のジェノヴァはイタリア最大の港街。狭い面積だが、急傾斜の段々畑でブドウ栽培が行われている。

・バジルペーストやオリーブオイルが特産で、手のこったパスタは秀逸。

・魚介類と好相性のワインが多く、早飲みから長期熟成に耐えうるワインも造られる。

 

リグーリア州のワインはその土地柄、魚介類との相性は抜群で、フレッシュでミネラル感が溢れるワインが数多く存在します。自分から探しにいかないと、なかなか出会う機会は多くないワインですが、是非一度手に取って試してみてください。

 

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

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