イタリア経済の中心地、ミラノを有するワイン産地 〜ロンバルディア州〜

こんにちは。わいんとくすりです。

前回に引き続きイタリアのワイン産地を巡っていきます。前の記事でもお伝えしたようにイタリアは20州全てにおいてワイン造りを行っているワイン大国です。その生産量も毎年TOP3に入ります。

 

イタリアは日本同様、南北に長い国で、北と南とでは環境や気候が大きく異なります。

 

北にはアルプスの山々が連なる冷涼な環境ですが、南部は典型的な地中海性気候で温暖となります。加えて、フランスやオーストリアとの国境にも面していることから、それぞれの国の影響も少なくありません。

 

このような環境にあるイタリアを北部から中部、南部へと順番にみていきたいと思います。今回は北西部に位置するロンバルディア州です。

 

ロンバルディア州はイタリアで最も豊かな州として工業、金融、商業、ファッションの中心地として栄え、「奇跡の経済成長」の中心都市とも言われます。首都のミラノには観光で訪れた方もおられるのではないでしょうか?

 

そんなロンバルディア州のお料理とワインについてみていきたいと思います。

 

今回の記事を読んでいただければ、華の都「ミラノ」の郷土料理やそれに合わせるワインについて理解が進むと思います。是非ご一読ください。

 

お断りになりますが、総論の記事ですので、D.O.C.G.やD.O.C.の詳細な記述については避けさていただきます。今後詳しくみていこうと考えていますので、今回はご容赦願います。

 

イタリア経済の中心地、ミラノを有するワイン産地 〜ロンバルディア州〜

ロンバルディア州概論

イタリア北西部(むしろ中央?)に位置し、北はスイスと国境を接し、西にピエモンテ州、東はトレンティーノ・アルトアルジェ州、ヴェネト州、南はエミリア・ロマーニャ州に接します。

 

州の面積はイタリアで4番目に大きく、ミラノを有することもあり、人口はイタリアで最も多い州になります。

 

山岳部は40.5%、平野部が47.1%、丘陵部は12.4%とイタリアにしては平野部が多めです。ブドウ栽培は州北部の氷河が運んだ氷堆石により形成された丘陵地帯で盛んに行われています。

 

イタリアで有名なガルダ湖、マッジョーレ湖、コモ湖、イゼオ湖など風光明媚な観光地も有名ですよね。河川も多く、ポー川の支流がロンバルディア州を潤します。

 

内陸になるので基本的には大陸性気候ですが、アルプス山脈周辺では山岳気候になります。大きな湖の周りでは温暖な地中海性気候となり、オリーブや柑橘類の栽培も行われます。

 

ブドウ栽培がされている丘陵地帯は、プレアルプスからの冷たい風が昼夜の寒暖差を形成し、ワインに重要なアロマを形成していきます。

 

ロンバルディア州の料理

Cassinam, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ロンバルディア州のお料理、どんなお料理を思い浮かべますか?

 

一番馴染み深いものとしてはMinetrone(ミネストローネ)があります。ミネストローネは様々な野菜をトマトと共に煮込み、スープとして供される家庭的な料理です。地域によってはお米なども入れます。

 

他にも、Milanese「ミラノ風」と呼ばれるお料理はいくつかありますが、なんといってもOssobuco「オッソブーコ」が有名でしょう。

 

オッソブーコは仔牛のスネ肉を骨付きのまま筒切りにし、焼き色をつけて煮込む料理です。現在はトマトと共に煮込みますが、元々はトマトが入らない料理でした。サービスの時は骨髄を食べる専用のスプーンも添えられます。

 

オッソブーコにはレモンの皮やニンニク、イタリアン・パセリを使った「グレモラータ」が添えられるのも特徴ですね。香草の印象とレモンの皮の苦味が次なる一口を誘います。

 

ミラノでの名物料理でいえばCostoletta alla Milanese「コストレッタ・アッラ・ミラネーゼ」も外せません。一般的にいう仔牛のカツレツです。柔らかく淡白で、繊細な味わいの仔牛は高級食材として扱われます。

 

ミラノでは骨付きの仔牛肉を薄く叩き、溶き卵、パン粉をまぶして多めのバターで両面をキツネ色に焼き上げます。ソースは添えず、レモンだけでパン粉とバターに包まれた肉の旨みを味わう料理です。

 

一般に骨付きは貴族の料理、骨なしのものは家庭的な料理と区別をされていたりもします。

 

パスタでいえば、特徴的なものにPizzoccheri「ピッツォケリ」があります。寒冷地のため小麦が育たないため、そば粉を使ったパスタです。ジャガイモやチリメンキャベツといった寒いところでも育つ野菜やチーズと共にいただきます。

 

代表的なチーズとしてはアルプスなので、やはり牛乳が主体です。ピエモンテ州でも造られるGorgonnla「ゴルゴンゾーラ」やTaleggio「タレッジョ」、ハードタイプで風味の穏やかなGrana Padano「グラーナパダーノ」は料理などでも有名ですね。

 

ロンバルディア州のワイン

ワイン生産量は137万hlで、イタリアの中では決して多い方ではありません。赤ワインが49%、白ワインが51%とほぼ半々の割合で作られています。

 

主な使用品種

それではロンバルディア州で主に栽培される品種をみていきましょう。

 

白ブドウ

Chardonnay(シャルドネ):

言わずと知れた代表的な国際品種。ロンバルディア州ではスパークリングワイン~スティルワインまで幅広く使われています。

 

Trebbiano di Lugana(トレッビアーノ・ディ・ルガーナ):

ガルダ湖南部、ヴェネト州にまたがる地域で栽培されている品種。豊かな果実味と適度なミネラル感があります。Lugana D.O.C.の主要品種です。

 

黒ブドウ

Chiavennasca(キアヴェンナスカ):

ロンバルディア州のValtellina(ヴァルテッリーナ)地区で造られるネッビオーロの事。淡い色合いにそぐわないしっかりとしたタンニンと豊かな酸が特徴。長期熟成向きのワインが造られる。

 

Croatina(クロアティーナ):

ロンバルディア州以外にもピエモンテ州、エミリアーロマーニャ州でも栽培される品種。明るいルビーの色調と豊かな果実味が特徴。単独で用いられることは少なく、数品種とブレンドされることがほとんど。

 

Pinot Nero(ピノ・ネーロ):

世界的にピノ・ノワールとして知られている品種。フランス語のノワール(黒)がイタリア語のネーロ(黒)になっているだけですね。

 

主なD.O.P.

Franciacorta(フランチャコルタ)D.O.C.G.:

イゼオ湖の南に広がる氷堆積の丘陵地で造られる瓶内二次発酵のスパークリングワインです。主な使用品種がChardonnay、Pinot Nero、Pinot Bianco(ピノ・ビアンコ)とかなりシャンパーニュを意識していることが伺えます。1961年に生まれた比較的新しい産地ですが、イタリアスパークリングワインの産地として確固たる地位を確立しています。

 

Oltrepò Pavese Metodo Classico(オルトレポ・パヴェーゼ・メトド・クラッシコ)D.O.C.G.:

白とロゼのスパークリングのみが認められています。特徴として、Pinot Neroが必ず主体であるということです。補助的にChardonnayやPinot Grigioピノ・グリージョ、Pinot Biancoが使用可能です。製造方法は瓶内二次発酵のみ。

 

もともとあったOltrepò Paveseは昔から卓越した品質のPinot Neroで知られていましたが、スパークリングワインのみ2007年に独立昇格をしています。

 

Valtellina Superiore(ヴァルッテリーナ・スペリオーレ)D.O.C.G.:

スイス国境に近いヴァルッテリーナ渓谷の南向きの急峻な斜面で栽培されるChiavennasca種から造られるワインです。Superiore「上質な」とつくだけに、Valtellina D.O.C.のワンランク上の品格があり、複雑性が感じられます。

 

2003年に独立昇格したSforzato di Valtellina  (スフォルツァート・ディ・ヴァルッテリーナ)は3ヶ月程度陰干しされたブドウで造られ、18世紀初頭にはすでに薬酒としても扱われていました。

 

Lugana(ルガーナ)D.O.C.:

ガルダ湖南部のヴェネト州にまたがる生産地域。品種はTrebbiano di Lugana種主体の白ワインです。粘土質の土壌で造られ、豊かな果実味の中にもしっかりとした酸と豊富なミネラル分が特徴的です。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はロンバルディア州のお料理とワインについて記載しました。

まとめてみますと、

 

・風光明媚な湖周辺でのブドウ栽培が盛ん。気候は山岳気候や地中海性気候と様々。

・ミネストローネやオッソブーコといった体の温まる煮込み料理が中心。そば粉を使ったパスタも名物の一つ。

・州を代表するFranciacortaを筆頭に、高品質なスパークリングワインが多い生産地域。赤ワインのValtellina Superioreも秀逸。

 

ロンバルディア州はミラノを有するだけに、東西南北からの道が交わる中継地として食材や多様な文化が入り混じる州です。その中で発達してきたお料理やワインに思いを馳せながら過ごす時間もまた良いのではないでしょうか?

 

是非一度、ロンバルディア州のワインをお手に取ってみてください。

 

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお会いいたしましょう。

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