ソアヴェ・クラシコのUGA|「軽やか」だけじゃない、その進化に迫る

イタリアワイン

こんにちは。わいんとくすりです。

暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか?こんな日にはキリッと冷えたソアヴェでも一杯・・・たまりませんね。

でも、ちょっと待ってください。
「ソアヴェって、さっぱり軽やかで飲みやすい白ワインでしょ?」と思っていませんか?

実は今、ソアヴェには新たな波が訪れています。今回は、その変化の中心にある「ソアヴェ・クラシコ」についてみていきたいと思います。

Soave Classicoとは

はじめにソアヴェについて確認しておきましょう。

生産地域

Soave DOCはイタリア、ヴェネト州の東部、ヴェローナ県で造られる白ワインです。主要品種であるガルガーネガを70%以上使用し、トレッビアーノやシャルドネなどをブレンドして造られています。

Soave DOCは広範囲にまたがる産地ですが、原産地呼称が制定される前から伝統的にワイン造りが行われていた丘陵地帯では「Classico(クラシコ)」の表記が認められています。

「Classico」と表記されたワインは、一般にSoave DOCよりも標高が高く、昼夜の寒暖差も大きいため、ブドウはゆっくりと成熟し、凝縮感のある味わいに仕上がっていきます。

つまり、ソアヴェ・クラシコはソアヴェの中でも高品質な産地として知られています。。

ガルガーネガ:地味な品種に秘められた底力

ガルガーネガは、ヴェネト州を中心に栽培される土着品種で、イタリア最古のブドウ品種のひとつとも言われています。厳選されたブドウから造られるワインは豊かなミネラルと酸を持っており、熟成にも耐えることが出来ます。

Consorzio soave at Italian Wikipedia, Public domain, via Wikimedia Commons

最も広く知られているスタイルは、柑橘や青りんご系のさわやかなアロマと、ミネラルを感じるほのかな苦味を持つ軽やかで爽やかな白ワインでしょう。

では、ガルガーネガの魅力は、これだけなのでしょうか?

答えは否。

ガルガーネガは十分に成熟するとリンゴやアプリコットといった黄色い有核果実金木犀のようなお花の香りをまとい、豊かな酸とミネラルをもつワインとなります。

熟成による変化も楽しむことができ、5〜10年の熟成を経ることで、ワインは蜂蜜やナッツ、スパイス、ドライハーブといった複雑な風味が加わり、まるで熟成した白のブルゴーニュのような表情さえ見せてくれます。

ソアヴェ・クラシコに導入された「UGA」とは?

©︎Consorzio Tutela Soave

最近訪れた変化として、Soave Classicoにおいて33のUGA(Unità Geografiche Aggiuntive)が正式に承認されました。UGAとは、「追加地理地区」のことです。広大なソアヴェ地区を土壌や標高、微気候などで細かく区分する制度で、キャンティ・クラシコのUGAと同じような考えになります。

ブドウ品種や醸造ルールには変更ありませんが、UGA名を表示することで、「どこの畑の個性か」がより明確になります。

土壌による違い

ソアヴェ・クラシコの多様性は土壌の違いによって支えられています。

ソアヴェ協会のホームページでは、以下の4種類の土壌が紹介されています。

©︎Consorzio Tutela Soave

代表的なUGA

ここでは特に注目したいUGAを5つご紹介します。

Carbonare(カルボナーレ)

火山性土壌/標高120〜280m/栽培面積41ha

ソアヴェ・クラシコの中心部に位置し、東〜北東向きの畑が特徴

主な生産者:Inama(イナマ), Suavia(スアヴィア), Le Battistelle(レ・バッティスレッテ)

La Frosca(ラ・フロスカ)

火山性+一部石灰質土壌/標高40〜150m/栽培面積38ha

90〜100年の古樹が植わる歴史的クリュ

主な生産者:Gini(ジーニ), Inama(イナマ)

Castelcerino(カステルチェリーノ)

火山性土壌/標高110〜380m/栽培面積267ha(クラシコ最大面積)

南西〜南東向きの畑で日照良好

主な生産者:Coffele(コッフェレ)

Rugate(ルガーテ)

火山性土壌/標高100〜225m/栽培面積42ha

「チリオニ」と呼ばれる石壁の段々畑がみられる

主な生産者:Ca’ Rugate(カ・ルガーテ)

Fittà(フィッタ)

火山性土壌/標高100〜300m/栽培面積75ha

日当たりが良く、平均気温も高め、降水量がUGA内でも多い

所有の多くは協同組合:Cantina di Gambellara

まとめ

いかがでしたか?今回はSoave Classicoの進化についてみてきました。

近年のソアヴェ・クラシコの傾向として、かつての「フレッシュでライトな白」の枠を超え、熟成も可能で、産地の差異を楽しめる本格派白ワインとして再評価されています。

UGA制度の導入により、ガルガーネガというブドウの多様な可能性が消費者に提示されました。

ぜひ複数のUGAを意識して飲み比べ、Soave Classico、そしてガルガーネガの魅力を感じてみてください。もしかしたら、Soave Classicoのイメージが根底から覆されるかもしれませんよ。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

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