トスカーナで注目される白ワイン|海を感じる品種、ヴェルメンティーノの魅力を深堀りしていきます

イタリアワイン

みなさん、こんにちは。わいんとくすりです。

今回は現在トスカーナ州で注目を集める白ブドウ品種についてみていきたいと思います。

トスカーナと聞けば、キアンティやブルネッロなど赤ワインのイメージが先行してしまいますが、近年密かに脚光を浴びている白ブドウ品種があります。それこそが「ヴェルメンティーノ(Vermentino)」です。

地中海沿岸原産のこの白ブドウ品種が、いまトスカーナで新たなムーブメントを巻き起こしています。その魅力と背景に迫りながら、なぜヴェルメンティーノがブームなのかを紐解いていきます。

地中海気候に映える品種|ヴェルメンティーノの特徴

ヴェルメンティーノの房Magnetto, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ヴェルメンティーノの正確な起源は不明とされていますが、イベリア半島(スペイン・ポルトガル)が原産ではないか?という説があるようです。中央アジアから伝来したという説もあり、ここは信じたい方でいいと思います。

主な生産地はイタリア北西部に位置するリグーリアからサルデーニャ、トスカーナで栽培され、フランスのコルシカ島やプロヴァンスなどでも見かけられる地中海系の白ブドウ品種です。活躍の場はどんどんと広がっており、現在はシチリア島やプーリア、ウンブリアなどでも生産が行われているようです。

トスカーナでの主な生産地は「ボルゲリ」「マレンマ」のほかに、やや内陸にある「モンテカルロDOC」と北部海側に位置する「カンディア・デイ・コッリ・アプアーニDOC」になります。

比較的芽吹きは早く、中程度からやや晩熟。成熟にはそれなりの熱量を必要とすることから、水はけが良く、日当たりの良い、南向きの斜面の畑(北半球)が主に選択されます。リグーリア州で行われる急斜面の栽培は有名ですよね。

一般的なワインの特徴は、なんといってもフレッシュな柑橘系とハーブの香り、ミネラル感あふれる味わいです。よく「海のワイン」として取り上げられることが多い品種でもありますね。

レモンやライム、グレープフルーツ、時に黄桃のようなフルーティさを感じさせつつ、口当たりはキリッとドライ。口に含むとキレのある塩気と清涼感があり、アフターに仄かな苦味。

まさに、「ここは・・・地中海?」と思わせる雰囲気が漂っています。

白ワインだけではなく、スパークリングワインも造られ、味わいの幅もフレッシュフルーティーなものから、厚みのあるものまで幅広いスタイルが存在しています。

そういった点において、初心者には親しみやすく、愛好家には飽きのこないポイントになっています。

一般的なヴェルメンティーノの特徴
  • フルーティーかつフローラルなアロマティック系
  • フレッシュな果実味、海の潮を感じさせるミネラル感
  • 口当たりはキリッとドライな辛口

なぜ今、トスカーナでブームなのか?

トスカーナではこれまで赤ワインが圧倒的な主役でしたが、気候変動やワインの嗜好の多様化を背景に、白ワインへの関心が年々高まっています。

暑く乾燥した沿岸地域「マレンマ」や「ボルゲリ」では、ヴェルメンティーノの栽培に最適とされ、国際品種をヴェルメンティーノに植え替える生産者もいるほどです。夏の太陽をたっぷり浴びても、酸をしっかり保ち、フレッシュな味わいをキープできるのがこの品種の魅力です。

州外の名門ワイナリーも次々とヴェルメンティーノに参入し、栽培面積もこの15年で6~7倍程度にまで拡大してきています。

このような背景から品質と評価が急上昇中で、「トスカーナの白」としてのブランド価値が確立されつつあり、国内外で注目を集めているのです。

高品質化するヴェルメンティーノ

かつてはカジュアルな食中酒というイメージが強かったヴェルメンティーノですが、近年そのスタイルに多様性が生まれています。

例えば、一部の生産者は単一畑(クリュ)で栽培されたブドウからワインを造り、テロワールによる違いを表現しています。

これまでのステンレスタンクで仕上げるフレッシュで軽快なタイプとは異なり、うまく樽を取り入れる事でリッチながらもエレガントなスタイルも登場。これにより、より深みのある味わいと熟成の可能性を持つワインが生まれています。

「白でも長く楽しめるワインが欲しい」という愛好家の声に応えるように、複雑さと洗練さが加わってきているのです。

トスカーナを代表する生産者とそのワイン

ヴェルメンティーノの成功は、生産者たちの努力と創意工夫に支えられています。
以下は、現在注目されるトスカーナの代表的なワイナリーとそのワインです。

  • オルネライア(Poggio alle Gazze):オルネライアが手掛ける希少な白ワイン。お値段もお高め。
  • グラッタマッコ(Grattamacco Bianco Bolgheri Vermentino):ボルゲリで最も古いヴェルメンティーノの畑を有するワイナリー
  • グアド・アル・タッソ(Bolgheri Vermentino):名門アンティノッリがボルゲリで造るヴェルメンティーノ
  • バンフィ(La Pettegola):ブルネッロの名門がマレンマで造るヴェルメンティーノ

これらのワインは、日本にも輸入されており、専門店やオンラインショップで入手可能です。

ヴェルメンティーノと料理|食卓に映える万能さ

ヴェルメンティーノの最大の魅力は、その食中酒としてのポテンシャルにあります。イタリアンはもちろん、和食やアジア料理とも相性が良いのです。

例えば、シンプルなカルパッチョやグリルした白身魚には、ワインがレモン替わりとなり、柑橘酸や風味、ミネラル感が絶妙にマッチします。フレッシュなモッツァレラやトマトのカプレーゼのようなバジルが似合うお料理との相性はリグーリア州の郷土料理から想像しても相性は抜群です。

日本料理との相性も良く、魚の塩焼きや焼き鳥(塩)は柑橘+ミネラルの印象がばっちりとはまります。

重すぎず、軽すぎないバランスが、日常から特別な食事まで幅広くカバーしてくれます。

まとめ

いかがでしたか?今回はトスカーナで注目される白ブドウ品種、ヴェルメンティーノについて書いてみました。

爽やかさと香り高さを兼ね備えたヴェルメンティーノは、初心者にも愛好家にも楽しみを与えてくれる白ワインです。トスカーナの海風を思わせるその味わいは、グラス一杯から旅する気分を味わわせてくれます。

まだ赤ワイン中心のトスカーナしか知らないという方も、ぜひ一度ヴェルメンティーノに手を伸ばしてみてください。きっと、新たな魅力と発見がそこに待っています。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

コメント