トスカーナワイン2013年ヴィンテージチャート|寒い春と涼しい夏|代表銘柄の作柄と味わいのポイント

イタリアワイン

こんにちは。わいんとくすりです。

赤ワインの銘醸地、トスカーナ州のヴィンテージ情報を「キャンティ・クラシコ」、「ボルゲリ」、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の3つの銘醸エリアに分けて2013年がどのような年だったのかをみていきます。

この記事はこんな人にオススメ

  • トスカーナ州のワインに興味のある人
  • トスカーナ州のグレートヴィンテージを探している人
  • キャンティ・クラシコ、ブルネロ、ボルゲリの2013年の作柄を知りたい人

この記事でわかること

結論から言うと、どの銘柄もグレート・ヴィンテージといっても差し支えないレベルかと思います。ですが、注意すべき点もありますので、是非最後までお読みください。

評価の指標は有名な評価サイトWINE ADVOCATES(以下、WA)WINE SPECTATOR(以下、WS)の点数を引用させていただきました。

キャンティ・クラシコ2013|WA:96R WS:93

キャンティ・クラシコの2013年は雨によって発育が遅くなったことが大きな特徴です。ワインは前年と比べると涼やかで香り高い印象とされます。

冬から春にかけては雨が多く、気温が例年を下回ることもよく見られたようです。この影響で発芽・開花が例年より遅れました。

転機となったのは7月の初め。気温の上昇と共に気候条件が回復し、ブドウの成熟が促されます。8月は例年通りの気候であり、極端な猛暑や干ばつといったブドウへの過度なストレスはなかったようです。

収穫期となる9月の気候は素晴らしく、激しい昼夜の寒暖差のなかでブドウはゆっくりと成熟し、絶妙なタイミングで収穫が行われました。

収穫されたブドウは理想的な芳香成分とポリフェノールの成熟がみられ、酸と糖度のバランスも素晴らしかったと記録されています。例年より涼しかったこともあり、果実味はやや控えめとなりました。

キャンティ・クラシコ協会としては、香りと風味のバランスの良さを推しています。

特に風味は追記されており、果実、タンニン、ポリフェノール、グリセリンのバランス、ヴィンテージを反映した適度なアルコール感が突出することなく高いレベルで調和していると高評価しています。

WAとWSでの評価はどちらも今が飲み頃となっており、もしお持ちであれば抜栓してみるいい機会かもしれません。

ボルゲリ|WA:95R WS:94

ボルゲリの2013年はキャンティ・クラシコと似た気候条件ではありますが、目の前がティレニア海ということもあり、「温暖で」という記載が目立ちました。

冬場は雨が多くやや温暖でしたが、春になっても気温が上がりませんでした。発芽・開花は10日前後遅れた生産者が多かったようです。その影響で「生産量の減少」、「房の発育のばらつき」がみられた生産者もいます。

キャンティ・クラシコより少し早い6月末に気温が上昇し、乾燥した晴れの日が続きます。育成は順調に進みますが、遅れを取り戻すほどではなかったようです。

8月に暑さのピークを迎えましたが、中頃に降った雷雨の影響で夜間の気温が急激に下がり、寒暖差が生じます。これにより豊かなアロマを蓄えることができましたが、収穫時期がさらに後ろ倒しになってしまったようです。

9月の気候は穏やかで、ヴィンテージの特徴でもある育成の遅れが功を奏し、暑さのピークを過ぎてからブドウはゆっくりと、完全に成熟できたと記録されています。

ワインの仕上がりは、素晴らしいバランスと魅惑的な香りを兼ね備えたエレガンスなワインだと紹介されていました。

一方で、ある生産者のホームページで「成熟がゆっくりであったため、9月末に降った雨が、成熟に影響を与えた」という記述もありました。

これは晩熟のカベルネ・ソーヴィニヨンはもちろん、例年は収穫が終わっていたサンジョヴェーゼにも影響が出たともとれます。少し頭の片隅に置いておくといいかもしれません。

飲み頃についてはWAは今が飲み頃としていますが、WSでは待っても良いとの評価です。ちょうど12年目に突入しているので、一つの飲み頃には差し掛かっていそうですね。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ|WA:97T WS:95

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの2013年はブルネッロ・ディ・モンタルチーノ原産地呼称協会で☆4つ(満点が☆5)となっています。WAやWSの評価が高いのに対して乖離があるのは興味深いですね。

協会ホームページには詳しいヴィンテージ情報は記載されていないため、情報サイトをもとにみていきます。

冬~初夏にかけては他の2つの産地と同様に「豊富な雨」の記載がみられました。大きな違いは発芽、開花の時期が例年通りに確認できたという点です。

その後は気温も順調に上昇し、乾燥した日が続きます。夏は例年に比べて涼しく、極端な猛暑日はなかったとのことです。

この寒暖差がありながらも涼しい夏は、ブドウが酸を保ちながらポリフェノールの成熟を促すことに寄与します。

このような気候条件は最近のヴィンテージでは少なくなっており、「1990年代の典型的な」や「伝統的な」といった言葉で表現がされていました。このことを考えると貴重なヴィンテージだと言えるかもしれません。

収穫期となる9月は雨に見舞われてしまい、収穫がわずかに後ろにずれましたが、ブドウの品質には影響しなかったようです。

ワインの評価はエレガントで生き生きとした酸を感じ、バランスの取れた冷涼さを感じるヴィンテージとなっています。

概ね良い評価が書かれているのですが、とあるサイトでは「優れたヴィンテージだが、必ずしもすべてが同じ結果とは限らない」と意味深な一文で終わっていました。

飲み頃についてですが、WAはまだ若く、タニックな印象、WSではまだ寝かせても良いと記載されています。出荷まで5年、そこから7年は経過しているのですが、まだまだお若いようです。

まとめ

いかがでしたか?

今回はトスカーナワインの2013年ヴィンテージについて記載させていただきました。

2013年ヴィンテージのポイント
  • キャンティ・クラシコ、ボルゲリでは春の気温が上がらず、育成サイクルの遅れがみられた
  • ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは1990年代を想起させる気候条件
  • 涼やかな夏の影響により特徴的で香り高く、エレガントな仕上がり
  • どの銘柄も評価は高く、グレートヴィンテージに匹敵するレベル

2013年ヴィンテージはどの銘柄も評価が高く、今がまさに飲み頃を迎えているものも多くなっています。

最後に注意していただきたい点は、評価の対象として見られているものが「Reserva」や「Superiore」といった、原料のブドウにパワーのあるワインだということです。一般的なキャンティ・クラシコDOCGやボルゲリDOCではピークアウトしている可能性もあるのでご注意ください。

この記事がワイン選びの参考になれば嬉しいです。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次の記事でお目にかかりましょう

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