トスカーナワイン2017年ヴィンテージチャート|不作の年?代表銘柄の作柄と味わいのポイント

ヴィンテージチャート

こんにちは。わいんとくすりです。

赤ワインの銘醸地、トスカーナ州のヴィンテージ情報をまとめていきます。

トスカーナ州の2017年は少ない降雨量と猛暑にみまわれた厳しいヴィンテージです。ブドウは不作となり、生産量も例年に比べて少なくなっています。気候条件の厳しかった年のワインの評価は一体どのようになっているのでしょうか?

ここでは、トスカーナ州を「キャンティ・クラシコ」、「ボルゲリ」、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の3つの銘醸エリアに分けてみていきたいと思います。

評価の指標として、有名な評価サイトWINE ADVOCATES(以下、WA)WINE SPECTATOR(以下、WS)の点数を引用させていただきました。

お断りにはなりますが、ワインは味わう場面や保存状態などによっも大きく印象は異なります。加えて、評価は個人で行うものですので、その点はあらかじめご了承ください。

キャンティ・クラシコ2017|WA:87E WS:93

キャンティ・クラシコ地区の2017年はここ数十年で最も乾燥した年の一つで、苦労が絶えない年でした。

2月から3月にかけては天候が不安定で雨が降り、4月末には気温の急激な低下により遅霜に見舞われました。遅霜に関しては、幸いなことに、被害はほとんど出なかったようです。

5月以降の降雨量は極端に少なく、気温は常に例年を上回りました。夏場の7月と8月は特に厳しく、猛暑日が続きます。

9月初旬の数日ではありますが、恵みの雨が降りました。雨量は決して多くはないものの、ブドウのストレスが軽減され、成熟度合をより良い状態へ持っていくことに繋がりました。

この異常気象によりキャンティ・クラシコ地区の生産量は例年の27%減にまで落ち込み、過去40年間で最も低い生産量を記録しました。

にも関わらず、ワインの品質は良好で、評価誌でも、例年以上の出来と称賛されています。生産者の努力の結晶とも言えるワインですね。

外観は生き生きとした力強さがあり、赤系果実の豊かな香りとスパイス感やハーブのニュアンスもあり、複雑味のある香り。タンニンの成熟度合いも高く、滑らかな口当たりが特徴です。

しっかりとしたタンニンと酸味が感じられるワインを持っているため、熟成能力もあり、年数を重ねるとさらに複雑な風味がでてくると思われます。

ブドウ自体は不作の年となりましたが、生産者の努力のおかげでワインの品質は高いものとなり、今後の発展を予感させる年といえると思います。

ボルゲリ2017|WA:88E WS:93

ボルゲリの2017年もキャンティ・クラシコ地区同様に厳しい暑さと雨量の少なさが影響したヴィンテージです。大きな違いとしては

冬から春先までは比較的温暖。以降も平均気温を上回る日々が続きました。

4月末にイタリア全土で気温が急激に低下し、遅霜が発生するも、海からの距離が近いボルゲリでは悪影響はありませんでした。5月から8月にかけての天候は暑く、乾燥していたため、ブドウの房は小さくなり、収穫量も減少しました。

8月末に降ったまとまった雨がブドウのバランスを整え、特にカベルネなどの晩熟品種にとっては素晴らしい形で収穫を迎えることができました。

ワインは豊かな果実の香り、特にブラックベリーやプラムのような黒系果実の風味を強く感じることができます。加えて、スパイス感やハーブのニュアンスも相まって、複雑なアロマが形成されます。

味わいは濃厚な果実味にしっかりとしたタンニンがあり。力強いストラクチャーが感じられます。早いうちからも楽しむことはできますが、熟成能力も高く、熟成の楽しみもあるワインといえます。

2017年のボルゲリは高温少雨の影響はありましたが、凝縮感が高く、果実味、タンニンとのバランスがしっかりと考えられたワイン造りが行われた年になっています。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2017|WA:88R WS:92

2017年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノも前述の2つの生産地域と同様に暑い夏にみまわれました。

非常に暑い夏と少ない降水量から、ブドウの成熟は早く進み、果実の糖度が高く、アルコール度数もやや高めであることが2017年の特徴ともいえます。

豊かな果実の香りがあり、基調はチェリーやプラムのような赤系果実となっています。造り手によってはスパイスやヴァニラの印象が強めです。

味わいはボリューム感のある果実味に、しっかりとしたタンニンと酸がバランスよく溶け込んでいて、しっかりとしたストラクチャーを形成しています。

豊富なタンニンと酸を有することから、数年から10年程度の熟成には十分に耐えることができると予想されています。

2017年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノは力強さとエレガンスを兼ね備えており、2015年以降としては珍しく早期から楽しめるワインと評価されています。それでも10年程度の熟成能力は十分に有しており、長い期間で楽しむことができる魅力的なワインだといえます。

まとめ

いかがでしたか?2017年のトスカーナ州におけるヴィンテージチャートをお届けしました。

まとめといたしまして

2017年ヴィンテージのポイント
  • トスカーナ州全体として猛暑と少ない雨が特徴的な気候
  • ブドウが不作になったため、ワインの生産量が減少した
  • どの生産地域も難しい年ながら、生産者の努力もあり、凝縮感のあるワインの評価は高め

2017年のワイン自体は例年に比べると生産量が減少していますが、ワインの質としては決して低く評価はされていません。どの生産地域でも果実味が凝縮され、成熟したタンニンとバランスの良い酸味が感じられるワインに仕上がっています。この生産地域としては珍しい「若くから楽しめる」ヴィンテージという点でも消費者にとっては嬉しいところかもしれませんね。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

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