こんにちは。わいんとくすりです。
赤ワインの銘醸地、トスカーナ州のヴィンテージ情報をまとめていきます。
トスカーナ州の2018年は、昨年の非常に暑く乾燥した気候から一転、多くの雨が特徴となった年です。雨が多くなると病害のリスクや果汁の希釈など心配事は尽きません。
実際の2018年がどのようなものであったのかを見ていきましょう。
ここでは、トスカーナ州を「キャンティ・クラシコ」、「ボルゲリ」、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の3つの銘醸エリアに分けてみていきたいと思います。
評価の指標として、有名な評価サイトWINE ADVOCATES(以下、WA)とWINE SPECTATOR(以下、WS)の点数を引用させていただきました。
キャンティ・クラシコ2018|WA:89I WS:93
キャンティ・クラシコの2018年は例年よりも気温が高めで、暖かな春であったことから、萌芽の時期が早まりましたが、5月にかなりの雨が降り、気温も低めでした。
6月中旬より気温は徐々に上昇し、夏場には平均的な気温まで回復しています。ブドウの色づき(ヴェレゾン)は7月後半から始まり、非常にゆっくりと進みました。
幸いなことに収穫期の9月は晴れの日が続きます。昼夜の寒暖差が大きくなり、ブドウには豊かな色素と香りを蓄えることができました。収穫の時期は、5月の雨の影響でブドウの成熟がゆっくりと進んだため、例年よりもやや遅くなっています。
2017年は雨が極端に少なかったことから、生産量が30%程度減少していましたが、2018年は平年並みに回復しているようです。
このヴィンテージは雨の心配はありましたが、おおむね良好な年と評価されており、酸度と果実味も整っていることから、熟成にも耐えうることができます。
総じて、2018年のキャンティ・クラシコは豊かな果実味の中に、酸とタンニンがバランスよく調和し、しなやかでエレガントな魅力的なワインに仕上がっています。
他のヴィンテージに比べるとやや劣るような評価とはなっていますが、品質は平年以上とされており、グラン・セレツィオーネでは熟成することで、より複雑味のあるワインになることが期待できます。
ボルゲリ2018|WA:90I WS:92
ボルゲリ2018年の冬は氷点下の日が続く厳しい寒さから始まりました。春先に降った雨が2017年の土壌の水不足を解消しました。寒さが影響し、キャンティ・クラシコとは対照的に萌芽は例年よりもやや遅れたようです。
4月の気温は高く、雨が多く降りました。その降水量は例年の3倍ともいわれており、最も雨が多く降った年として生産者の記録にも残っています。萌芽が遅いにも関わらず、ブドウ木は急速な成長をみせ、開花は例年よりも1週間早まったほどです。
5、6月になると降雨はやや落ち着きますが、それでも多めで推移します。7月にようやく暑く乾燥した日が戻ります。ですが、8月は暑さが例年より穏やかで、雨も少し多かったようです。土壌中に水分が多かったため、ブドウはやや大ぶりに育ちます。
9月は好天に恵まれており、気温は高く、雨も降りませんでした。収量も安定していたようです。
春先の雨や8月が例年より涼しかったこともあり、鮮やかでフルーティーな赤ワインに仕上がっています。熟成にも耐えることが出来ますが、比較的早いタイミングで楽しむことができるワインです。
評価は他のヴィンテージに比べるとやや劣るような印象を受けますが、90点以上を獲得していることから考えると品質は良好だと言えそうです。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2018|WA:92T WS:93
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2018もキャンティ・クラシコ、ボルゲリ同様に多く雨が降ったことが特徴です。
冬から春先にかけて降雨量が多くなります。萌芽の時期は他の生産地域とは異なり、例年通りです。
夏場の気温は例年通りで、夜間になると気温がしっかりと低下したことから、ブドウの成熟が促進されました。頻繁な雨、時には雷雨が発生し、湿度高い日もありましたが、風通しが良いこともあり、病害虫にはさらされることなく、収穫期を迎えることができたようです。
収穫期の9月~10月にかけて涼しい日が多く、ブドウの成熟は順調に進み、フレッシュさやエレガンス感を保っています。
2018年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノは凝縮感のある果実味とバランスの良い酸味が特徴と言えます。
難しいヴィンテージにはなっていますが、キャンティ・クラシコ、ボルゲリの2018年はWAがワインによってはやや品質にばらつきがある評価を与えているのに対して、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは安定した品質を保持しています。
他のヴィンテージに比べると他の銘柄同様にやや劣った評価とはなっていますが、その品質は高く、熟成することで更なる面白みが出てくるワインだといえます。
まとめ
いかがでしたか?今回はトスカーナワイン2018ヴィンテージを記載させていただきました。
まとめてみますと
干ばつが問題となった2017年とは対照的に雨に悩まされたヴィンテージが2018年です。2017年と同様に厳しい天候ながらも生産者の努力により、ワインの品質は平年以上の評価を得ています。
熟成を重ねるとピークアウトは早めになるのかもしれませんが、トップレンジのワインであれば10年前後の熟成は問題ないと思います。もちろん、現在飲んでも美味しくいただけます。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノでいえば、2018年や2019年あたりがよく出回っているヴィンテージではないでしょうか?是非ワイン選びの参考にしてみてくださいね。
ここまでご一読いただきありがとうございました。また次の記事でお目にかかりましょう。
飲兵衛薬剤師
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