トスカーナワイン2020年ヴィンテージチャート|霜害とパンデミック|代表銘柄の作柄と味わいのポイント

イタリアワイン

こんにちは。わいんとくすりです。

赤ワインの銘醸地、トスカーナ州のヴィンテージ情報を「キャンティ・クラシコ」、「ボルゲリ」、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の3つの銘醸エリアに分けて2020年ヴィンテージを見ていきたいと思います。

この記事はこんな人にオススメ

  • トスカーナ州のワインに興味のある人
  • キャンティ・クラシコ、ブルネロ、ボルゲリの2020年の作柄を知りたい人
  • イタリアワインで2020年ヴィンテージを探している人

この記事でわかること

結論から言うと、2020年は気候だけではなく、人的にも悩まされたヴィンテージです。

気候は春の霜と暑く乾燥した長い夏が特徴で、収穫期の雨で収穫のタイミングの見極めが重要になりました。人的要因もCOVID-19による世界的なパンデミックによって人員不足や作業環境に頭を抱えた生産者も多かったのではないでしょうか。

そのような背景の下、2020年がどのようなヴィンテージだったのかみていきましょう。

評価の指標は有名な評価サイトWINE ADVOCATES(以下、WA)WINE SPECTATOR(以下、WS)の点数を引用させていただきました。

キャンティ・クラシコ2020|WA:90T WS:94

キャンティ・クラシコ協会は2020年を素晴らしいストラクチャーを持ちながら、バランスも整ったワインだと評しています。

2020年の初春は例年に比べると寒く、時には気温が0度を下回る日も見られました。冷気のたまりやすいエリアでは萌芽時期のブドウ樹が霜の被害を受けてしまい、2019年と比べて生産量が10%程度減少したと書かれています。

5月中頃、開花の時期になると乾燥した暖かい日が訪れ、ブドウは順調に生育していきます。6月には雨がよく降り、暑く乾燥した夏を乗り越えるための水を蓄えることができました。

雨のおかげで8月は暑く乾燥した日が続きましたが、ブドウへの水分ストレスはなく、順調に成熟が進みます。加えて、7月~8月にかけては昼と夜の気温差が多きく、ブドウには豊かな香りを備えることができました。

収穫期も暑く乾燥した日が続きましたが、9月の雨のおかげで気候はリセットされ、ブドウの過熟は防がれたようです。

霜害によって生産量は減少してしまいましたが、ワインの品質には問題なく、暑い夏を反映した肉厚で熟した果実味のあるワインに仕上がっています。

ボルゲリ|WA:90T WS:94

Lucarelli, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

ボルゲリの2020年もキャンティ・クラシコ同様に寒い春と暑く乾燥した長い夏を特徴とするヴィンテージになります。

暖かく雨の多い冬のあと、発芽を控えた3月に気温が急に下がります。夜間には0度を記録する日も見られました。霜の影響は多少認められたものの、大きな被害には至らなかったようです。

その後の気温は温暖で、降雨量も例年並みにあり、ブドウは順調に生育していきます。6月中旬に激しい雨が降りますが、そこから8月末まではほとんど雨が降らない暑くて乾燥した日が長く続きました。

この間にブドウの色素が急速に蓄えられ、豊富な日照量によりブドウの成熟も着実に進みます。

8月末に降った雨により暑さが和らげられ、昼夜の寒暖差が生まれます。夜間の最低気温は13度まで下がることもあり、早熟のメルローの理想的な条件が整いました。

ところが、突然の熱波に襲われます。この影響で予定外にブドウの糖度が上がってしまい、樹勢の弱い畑のカベルネ・フランやカベルネ・ソーヴィニヨンは9月中旬という異例の速さで収穫されました。

9月末に待望の雨が降ったおかげで過熟であった糖度を補正することが出来ました。

霜害、暑く乾燥した長い夏を反映して凝縮感と熟した豊かな果実味を味わうことが出来るワインに仕上がっています。タンニンは成熟しなめらか、骨格もしっかりとしており、バランスのよい仕上りになっています。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ|WA:92T WS:ー

Megan Cole from Vancouver, Canada, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの2020年はブルネッロ・ディ・モンタルチーノ原産地呼称協会でも⭐︎5つ(満点が⭐︎5)を獲得しているヴィンテージで、暑く乾燥した夏と収穫期の雨が特徴です。

冬と春は温暖で降雨量が少なく、萌芽の時期は例年より早いタイミングでみられました。気候は安定しており、生育は順調に促されます。発芽期に氷点下となったキャンティ・クラシコ、ボルゲリエリアですが、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノではその記載は限定的でした(なくはない)。

6月には穏やかな気候ながら他の生産地と同様、雨の日が多く、夏を超えるための水を蓄えることができました。8月末までは晴れた日が続き、豊富な日照からブドウの成熟が均一に進み、色づきも完璧に仕上がります。

8月末に降った雨により気温は低下し、気温の日内差が生まれました。このことにより、適度な酸を保持しながら豊かなアロマも蓄えることができています。

収穫期は例年よりやや初めに行われ、日中の気温差が大きな日を狙い、短期間で行われたようです。収穫期に雨が降ることもありましたが、品質には影響はなかったようです。

柔らかく温かみのある果実味と成熟したタンニン、それを支える酸味でバランスの取れたワインになっています。今からでも楽しめる親しみやすさがありつつも、長期熟成も可能なエレガントな味わいと評価されています。

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは60カ月の熟成規定があるため、2020年ヴィンテージは2025年1月にリリースとなります。まさに今市場に出たばかりということになりますね。

WSでは十分なワインの評価が出来ていないため、結果の公表はまだ行われていないませんでした。

まとめ

いかがでしたか?今回はトスカーナワインヴィンテージを記載させていただきました。
まとめてみますと

2020年ヴィンテージのポイント
  • 発芽時期の霜害によって生産量が減少した
  • 収穫期の気候の不安定さから収穫の見極めが重要であった
  • 困難の多い年だったが、ワインは高品質に仕上がっている

2020年はキャンティ・クラシコ、ボルゲリでは今まさに出回っているヴィンテージですし、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはこれから見かけるヴィンテージになります。

不安定な気候とパンデミックの最中という困難な条件下にもかかわらず、ワインの仕上がりは高品質になっています。残念ながらグレートヴィンテージと呼ばれるまでの評価には達していませんが、今開けて美味しいワインであることは間違いないでしょう。

見かけた際は、是非一度手に取っていただければ嬉しく思います。

この記事があなたのワイン選びの参考になれば幸いです。

ここまでご一読いただきありがとうございました。また次の記事でお目にかかりましょう。

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