魅力的なのは観光だけじゃない!銘酒あふれる産地〜ヴェネト州〜

イタリアの生産地

こんにちは。わいんとくすりです。

ヴェネト州はイタリアの州別ワイン生産量でプーリア州に並び、常にトップクラスに位置しています。銘柄も有名なものが多く、「ソアヴェ」や「アマローネ」、「プロセッコ」などワインファンであれば一度は聞いたことがあるでしょう。

そんなヴェネト州をとりまく環境や料理、ワインについてみていきたいと思います。

今回の記事を読んでいただければ、ヴェネト州の理解が深まると共に、郷土料理やワインについての理解も進むと思います。是非ご一読ください。

お断りになりますが、総論の記事ですので、個別のD.O.C.G.やD.O.C.の詳細な記述については避けさていただきます。今後詳しくみていこうと考えていますので、今回はご容赦願います。

ヴェネト州概論

ヴェネト州はイタリア北東部に位置し、東にフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州、北はトレンティーノ・アルト・アディジェ州、西はロンバルディア州、そして南はエミリア・ロマーニャ州、アドリア海に接しています。

もともと東方貿易の中心地でもあり、海運国でもあったヴェネツィアは文化レベルの高さで近隣に大きな影響を与えていました。

有名な観光地が多く、州都のヴェネツィアをはじめ、ヴェローナ、パドヴィ、ヴィチェンツァなど由緒ある美しい街並みが多く、美術品や建築など見るべきものが絶えません。ヴェローナはシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の舞台となったことでも知られています。

ワイン関係で言えば、世界的にも大きな国際ワイン見本市「ヴィーニタリー」が年に1回4月、ヴェローナにて開かれます。このことからもヴェローナは「イタリアワインの首都」とも考えられています。

気候風土

では、環境はどうなのでしょうか?

20州あるイタリアの中でも8番目の面積を有しています。平野部が56.4%、山岳部が29.1%、丘陵地帯が14.5%とイタリアとしては平野部が多いことが特徴です。平野部が多いということは、機械の導入も可能なため、大量生産の土台があるということですね。

内陸部は亜大陸性気候、南部のアドリア海周辺は地中海性気候です。北に連なるアルプス山脈が北からの冷風を遮り、アドリア海とガルダ湖の恩恵により、州全体として基本的に温暖です。ガルダ湖周辺はより温暖な気候から、柑橘やオリーブの栽培も盛んです。

ヴェネト州の食材・料理

ヴェネト州の食材や料理についてみていきましょう。

ヴェネト州には米の文化も根付いています。日本米とは異なり、粘り気が少なく、リゾットなどに向いています。ヴェローナ近郊では高級米「ヴィアローネ・ナーノ米」などが有名です。 

米を代表とする料理として「リージ・エ・ビージ」があげられます。直訳すると「米とエンドウ豆」。グリーンピースと米を莢の香りがついた出汁で煮るスープです。汁気を少なくしてバターとチーズを加えるとリゾット風にアレンジもできます。

前菜で有名なものに生肉のサラダ「カルパッチョ」があります。日本のカルパッチョは魚ですが、ヴェネト州では生の牛肉です。ヴェネツィアのハリーズバーで、顧客のために作ったといわれる一品。
生肉の色が画家カルパッチョの使う赤色と似ていたことからこの名前になったとも言われています。薄くスライスした牛肉にマヨネーズやマスタード、ウスターソースなどから作られたユニバーサル・ソースをかけていただきます。

ヴェネト州名物パスタと言えば「ビーゴリ・イン・サルサ」でしょう。ビーゴリはトルキオと呼ばれる専用器具を用いて作られる手打ちの極太パスタのことです。サルサは玉ねぎとアンチョビを煮込んだソースを指します。ビーゴリはサルサ以外にも、ジビエの煮込みなどもよく合います。

チーズは牛乳を原料としたものが主で、ハードタイプのものが有名です。代表的なものとしては「アジアーゴ」、「モンテ・ヴェロネーゼ」、「ピアーヴェ」がいずれもD.O.P.認証を受けています。

海のイメージが強いヴェネト州において、郷土料理に魚を使った料理が少ないことは少し驚きですね。見つかったのはイワシの南蛮漬けや干し鱈のペーストくらいです。

ヴェネト州のワイン

ヴェネト州は2021年の生産量が10,927,169hLと州別で1位になっています。その生産割合は白ワインが全体の8割を占めます。気軽に楽しめるデイリーなものから特別な日のとっておきの高品質ワインまで幅広く造られています。

まずは使用しているブドウ品種を確認しましょう。

主なブドウ品種

白ブドウ

Alessandro Pighi, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

Garganega(ガルガネガ):
ヴェネト州を代表する銘柄、Soave(ソアヴェ)に使用されるブドウ品種。豊かな果実味とアフターに仄かな苦味が感じられます。陰干し(レチョート)タイプの甘口ワインにも使用されます。ヴェネト州以外でもフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州ロンバルディア州でも栽培されています。

Glera:(グレーラ):
昔はProsecco(プロセッコ)と呼ばれていた品種。銘柄との混同を防ぐために品種名が変更されました。品の良い果実のフレッシュな風味と仄かな苦味が感じられます。ヴェネト州を代表する銘柄のProseccoの主要品種で、主に発泡性ワインに使用されています。

黒ブドウ

英語版Wikipedia, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

Corvina Veronese(コルヴィーナ・ヴェロネーゼ):
ヴェネト州を代表する黒ブドウ品種。Valpolicella(ヴァルポリチェッラ)の主要品種。豊かな果実味とやや強めの酸と、なめらかなタンニンが特徴的。高級ワインの一つ「Amarone della Valpolicella」もこの品種から造られる。

Rondinella(ロンディネッラ):
5〜30%の割合でアマローネにも使用される黒ブドウ品種。チェリーの香りに適度な酸味とタンニンをあわせ持つ。

主なD.O.P.

Soave Superiore(ソアヴェ・スペリオーレ):
Garganega主体で造られる白ワイン。州西部のガルダ湖にほど近い地域で生産されています。充実した果実味となめらかな飲みごごち。D.O.C.G.に昇格したにもかかわらず、Soave Superioreではなく、Soave  Classicoを名乗る生産者が多いようです。
陰干しされたブドウを使用した甘口ワイン「Recioto di Soave」もあります。

Coneglian0 Valdobbideane-Prosecco(コネリアーノ・ヴァルドビッデアーネ・プロセッコ):
イタリアを代表する発泡性白ワインです。近年では辛口のBrutが注目されますが、伝統的に果実味のある残糖度のやや高いExtra Dryのものも人気があります。シャルマ方式が主流ですが、瓶内二次発酵方式によるものも認められます。フレッシュな果実味が身上です。

Lison(リソン):
州東部に位置し、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州にまたがる生産地域。Tai(タイ)と呼ばれる珍しいブドウ品種から造られる白ワイン。果実味に富み、穏やかな酸味が特徴です。

Amarone della Valpolicella(アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ):
Corvina Veroneseを陰干しして凝縮感を増して造られるワイン。芳醇な香りと甘美なる味わいとビターな後味が他にない個性を感じさせます。世界的にも評価が高く、高級ワインとして扱われることが多いです。

Bardolino Superilore(バルドリーノ・スペリオーレ):
ガルダ湖を望む温暖な生産地域。Amarone della Valpolicellaと同様の品種、Corvina Veroneseが主体。二つを比べるとBardolino Superiloreの方がより軽快でよりフレンドリーな味わい。古くから栽培されてきたクラシコの指定地域があります。

他にもワインではありませんが、ヴェネト州といえばブドウの搾りかすから造る蒸留酒グラッパも有名ですね。食後のハードリカーとして楽しまれています。

 

まとめ

いかがでしたか?ヴェネト州について記載させていただきました。

まとめてみますと、

  • 平地が多く、気候にも恵まれるため、国内でトップクラスの生産量を誇る州。
  • 米を使った料理が発達しており、リゾットやスープに使用される。豆食も多い。
  • 甘口から辛口まで幅広いスタイルが造られ、デイリーワインから高級なものまで幅広く揃う州。

ヴェネト州は歴史的建築物や美術品も多く、観光地としても人気のある州です。ワインに目を向けてみると幅広いスタイルがあり、その時の気分やシチュエーションに合わせた選択が可能なものが揃っています。ぜひヴェネト州のワインを楽しんでみてくださいね。

ここまでご一読いただきありがとうございいました。また次回の記事でお目にかかりましょう。

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